研究課題/領域番号 |
17K20022
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
森嶋 厚行 筑波大学, 図書館情報メディア系, 教授 (70338309)
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研究分担者 |
平賀 瑠美 筑波技術大学, 産業技術学部, 教授 (70327021)
張 建偉 岩手大学, 理工学部, 准教授 (20635924)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 社会的包摂 / クラウドソーシング / 視聴覚障害者 / 雇用創出 |
研究実績の概要 |
本年度は,研究計画の5つの課題のうちの特に2つの課題について中心に研究を推進し,4つの課題においてそれぞれ最初の成果を得た.具体的には次の通りである. まず,第1の課題であるアクセシブルマイクロタスクデザインに関する研究については,聴覚障害者をクラウドソーシングのワーカとした手話通訳タスクを対象に検討を行ない,タスクデザインに関する知見を得た.具体的には,複数の聴覚障害者が発表者の手話を文字にリアルタイム通訳するための実用システムの実現に向けて,手話を用いた2件の講演に対し19名の聴覚障害者の連携による手話の文字通訳実験を行い,その通訳結果の品質やリアルタイム性と,システムの使用感や有用性を評価した. 次に,第2の課題であるワーカアクセス制約記述モデルに関する研究に関しては,各ワーカの能力を明示的に記述し,それに応じて適切にタスクの割当てを決定する研究に着手した.具体的には,各ワーカの能力と各タスクが必要とする能力のマッチングを行ない割り当てる際に,生産性やスループットだけを考慮するだけではなく,ソーシャルインクルージョンの視点からより様々な能力をもったワーカに幅広く割当てを行なう手法の研究をおこなった.これは,第3の課題であるアクセシブルタスク変換および割当てにも繋がる技術である. また,第4の課題であるタスクの結果統合に関しては,聴覚障害者が実施したタスク結果が高品質でない際,入力が間に合わないだけで必ずしもスパムではない場合に注目し,他のタスク結果と組み合わせることによって高品質の結果を生成する手法を開発し,一定の効果を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね順調に進捗していると考える理由は次の通りである.まず,5つの課題のうち4つの課題について1年目から最初の成果が出つつある.特に,第3の課題であるアクセシブルタスク変換および割当てに関しては,ソーシャルインクルージョンに繋がるタスク割当ての新たな指標を導入することにより,新たな社会デザインへの応用が期待される成果が今後得られる可能性があると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
ユーザの能力のモデル化に関して,今後はより詳細な検討を行ないたい.具体的には,今年度発表したモデルは最も単純なものであり,各能力に関して真偽値だけを取るモデルとなっている.来年度は,より表現力が高くまた実用との親和性の高いモデルを構築し,タスク変換・割当ての問題に適用していきたい.また,第5の課題である応用研究にも今後は力を入れていく計画である.
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次年度使用額が生じた理由 |
モデルに関する研究が若干後ろにずれ込んだため,それに関わる経費を次年度に利用する.
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