研究課題
本研究では寄生虫由来の疾患が発生した際に患者の資料に対する顕微鏡写真中に見い出される原虫類を検出してその種を識別し、寄生虫由来の疾患に対する事例に関する経験が十分でない医療関係者に対してその識別結果を提供することにより確定診断に必要な情報提供を支援する技術並びにシステムの確立を目指すものである。本研究では原虫類を対象として、顕微鏡写真画像より虫体領域を分割し、その種を識別するための画像特徴量の探索と検出、識別技術の確立、並びにこれら手法を検討、実装し検証する際に必要となる寄生虫情報データベースの拡充を実施した。まず、寄生虫情報データベースの拡充に関しては、各腸管寄生原虫の形態的評価のベースとなる分類を確立するため、分子疫学的調査・研究を実施した。その分類調査の過程で、インドネシアおよび日本の野鼠に分布するブラストシスチスを遺伝子レベルで評価し、その種内多型における位置づけを明らかにした。また、インドネシアに分布するレトルタモナスをヒトおよびヒトと密接に関係するイヌ、豚、牛などのほ乳類から検出し、脊椎動物由来のレトルタモナスに存在する遺伝子型から分類を明らかにし、さらには、非病原性と考えられてきたハルトマンアメーバが病原性を保持する可能性などが明らかとなった。顕微鏡画像を入力とした虫体領域の認識、種の識別に関しては、これまで構築した寄生虫情報データから虫体領域を教師データとして切り出し、それをResNetを改良したネットワークに学習させることにより、スケール、形状、染色法の違いによる影響を受けにくい領域分割を実現した。領域分割処理の後には局所特徴量をスケールごとにクラスタリングし、スケールごとに局所特徴を求めてそれに基づき種の識別を行うことにより従来法と比較してより高い種の識別精度を達成した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
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