研究課題/領域番号 |
17K20026
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
田中 清 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (20273071)
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研究分担者 |
岩切 宗利 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 准教授 (00535362)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 3次元点群 / 高能率レジストレーション / キーポイントパッチ / マルチスケールフィルタ / 仮想特徴点 / 特徴点マッチング / 再帰的近傍点探索 / 進化型計算 |
研究実績の概要 |
大規模空間に関する3次元点群処理は一般に困難な問題として認識されており,現在,その効果的かつ効率の良い処理方法の確立が模索され,計算コストの大幅な削減が重要な課題である.本研究は,3次元の大規模空間情報を,高精度かつ高能率に構築するレジストレーション(位置合わせ)を実現する基礎技術の確立を目的として実施した. 2017年度は,高速な画像処理技術と3次元点群処理を階層的かつ帰納的に用いるCoarse-to-fine アプローチを,大域的解探索能力に優れた進化計算を用いて実現する新しい手法の開発に取り組んだ.まず,キーポイントパッチKPP(Key Point Patches)と呼ぶ特徴点周辺の局所点群を用いて,高能率に3次元空間での再帰的近傍点ICP(Iterative Closest Point)探索法による進化型レジストレーションを実現した.また,3次元点群から空間オブジェクトの一種である平面構造体を高速かつ高精度に認識するマルチスケールフィルタSDoN(Scaled Difference of Normals)を用いた高精度平面推定法に関する基礎技術および推定平面オブジェクトの相互関係から定まる3次元構造体により決定した仮想特徴点VKOP(Virtual Keypoint Of Polyhedron)を特徴点マッチング法によるレジストレーションの基本手法を実現した. 今後は,これらの研究成果を複合的に利用する手法や画像情報(色成分などの表面情報)を活用する方法について検討する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2017年度は,本研究目的を達成するための基礎技術を確立することを目標に研究を実施した.これまでの研究で,3次元点群の高能率レジストレーションのために進化型計算の処理を応用する基本手法,平面構造を成す3次元点群(オブジェクト)の高能率推定法,平面オブジェクトを利用した高精度な仮想特徴点の決定法と特徴記述法,それぞれに関する提案とその評価を完了できた.これらの研究成果は,本研究目的を達成する上での最も基礎となる部分である.さらに,それらの進展的話題である特徴点の信頼性やスケーラブルなフィルタ処理などについても検討を進め,それらの研究成果についても報告資料にまとめ研究会などで口頭発表を実施した.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は,曲面構造を成す3次元点群オブジェクトの抽出とその活用,高信頼な仮想特徴点を重点に活用した特徴点マッチング法による高精度レジストレーション,高能率レジストレーションのための動的進化型計算法,色情報などの画像情報を利用した各手法の改善,ニューラルネットワークによるオブジェクト認識とそれを用いたオブジェクトベースレジストレーション,地理情報システムの応用と可視化分析法について検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、宿泊を伴う国内学会参加を初年度に複数予定していたが、当該年度は近郊での発表会が多く、遠方での発表機会を次年度に繰り越したため、主に旅費に関する残額が生じた。 2018年度は、宿泊を伴う研究打ち合わせおよび国内学会発表、国際会議発表を複数回実施する予定なので、2017年度残額分は2018年度請求分と合わせて使用する予定である。
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