本年度は、当該研究の最終年度に、また、本研究者の阪大特任研究員としての身分の最終年度に相当する年であったが、折悪しく、コロナ禍の影響等により、一時、研究を余儀なく中断された。そのような状況下ではあったが、本研究者が属する研究グループのリーダーである、田村真一大阪大学名誉教授と共に、当該研究の集大成としての、論文を執筆、掲載された。論文タイトルは、Multiplex signal transmission by spike waves (Part 2)である(掲載論文誌については、7.研究発表の[雑誌論文]の項を参照)。因みに、執筆担当は、田村名誉教授がPART1(シミュレーション)、本研究者がPART2(培養神経細胞も用いた生理学的実験)である。また、前述の論文執筆に当たり、これまで行ってきた実験データ解析、シミュレーションの正当性を確認するため、追従実験を行うため、解析プログラムを、プログラム言語 pythonにより実装した。(従来版はMATLABでコーディングされている。)その結果、刺激部位の相違を、刺激部位から離れたニューロンで観測されるスパイクの時空間パターンから識別できること、またこの刺激パターンは、隣接するニューロンとの相互作用により、識別率が向上すること、さらに繰り返し刺激により、学習されるといった、これまでの現象の再現性を、確認することが、できた。本研究課題は、本年度を以て終了となるが、今後も何等かの形で当該研究に関連したテーマを、発展させていきたいと考えている。
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