研究課題/領域番号 |
17K20039
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
濱 健夫 筑波大学, 生命環境系, 名誉教授 (30156385)
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研究分担者 |
廣田 充 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90391151)
大森 裕子 筑波大学, 生命環境系, 助教 (80613497)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 微生物炭素ポンプ / 難分解性有機物 / 土壌細菌 |
研究実績の概要 |
本研究は、「土壌生態系においても、細菌による難分解性有機物の生成を通した炭素の長期隔離が駆動しているか」を、実験的に検証するものである。まず、土壌細菌の有機炭素を計測する方法について検討した。さらに、細菌による安定な有機物の生成量を推定するため、培養実験を実施した。本実験では、炭素安定同位体(13C)で標識したグルコースを土壌中に添加した後に培養を行い、培養期間中の土壌有機炭素の濃度および13C同位体比の変化を明らかにした。 土壌細菌に含まれる有機炭素量を計測するためには、ガラス繊維濾紙上に細菌を捕集する必要がある。土壌試料を超純水で懸濁した後、孔径0.3マイクロメートルのガラス濾紙で濾過することにより、約80%の細菌が濾紙上に捕集されることを確認した。これにより、土壌細菌が保有する有機炭素の測定が可能となった。 土壌試料の培養期間中において、13C有機炭素濃度は培養開始後減少を開始し、30日後には初期値の約40%程度に低下した。これから、土壌に添加した13Cグルコースが土壌細菌により分解されたことが確認できた。一方、本実験で得られたグルコースの減少速度は、研究代表者らが実施した海水細菌を用いた培養実験に比較して低い値であった。低い分解速度の原因としては、土壌培養系における窒素・リン等の栄養塩類の不足や、土壌粒子へのグルコースの吸着などが考えられる。一方、培養終了時に残存した13C含有有機物には、グルコースのみではなく、細菌により生産された安定な代謝産物も含まれていると考えられる。このため、今後は、グルコース濃度を別途定量することにより、細菌により生産される安定な有機物の生成量を明らかにすることが可能となる。
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