研究課題/領域番号 |
17K20043
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
Brown John 京都大学, 医学研究科, 講師 (90583188)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | 受容体 / 核内受容体 / 化学物質 / 相互作用 / 人工知能 / 能動的学習 / 計算創薬 / 分子設計 |
研究実績の概要 |
ChEMBLという化合物活性データベース(公開型)から(1)核内受容体と化合物の活性データ、及び、(2)Cytochrome P450酵素の活性データを抽出し整理しました。データに矛盾または大きなばらつきが無いことを検証後、予測モデルの開発に取り組みました。モデル方法として以前の研究で開発した「能動的学習」を適用しました。その結果、活性データ全体の中から約10パーセントのデータを効率よく選択することによって、得られたモデルが全体データに対して高予測性能を示すことを証明できました。また、活性データが少ない受容体への実応用を想定して、一つずつの受容体を学習データから省いた場合のモデル予測能力と省かれた受容体の予測性を評価しました。この結果をChemMedChem誌に投稿した結果、Very Important Paper(VIP論文)の指定を受賞しまし、2018年6号の表紙イメージと選ばれました。
また、別の方向として、活性予測の評価方法について研究を進めました。その結果、人工知能を評価する際、評価尺度によってAIを過剰に評価してしまう危険性を理論的及び実応用的に証明でき、受容体のモデリングを含めてAIを使用する際のbest practicesを提案しました。この結果をMolecular Informaticsで発表し、日刊工業新聞(2月8日30面)・日経産業新聞(3月1日5面)・財経新聞(3月7日)で紹介されました。
また、米国の国立衛生研究所の環境健康研究所(National Institute for Environmental and Health Sciences)の高品質受容体データを共有してもらい、モデリングを行ってきました。その結果、能動的学習の実応用性を証明でき、論文を準備しているところ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
核内受容体に対する化学物質の活性を高精度に予測できるモデルが構築できたため、研究目的は達成している。
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今後の研究の推進方策 |
残りの研究期間に、モデルの予測能力をさらに向上させ、適用範囲を定量的に評価できる仕組みを作成する予定をしている。
また、米国政府との連携を続けて毒性予測とレギュラトリーサイエンスへの実用に向けて研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
予測モデルの実験検証を国際共同研究で実施するが、先方で発生する消耗品費用の支払の先送りとなっており、次年度の経費と計上される。
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