研究課題/領域番号 |
17K20044
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
豊田 岐聡 大阪大学, 理学研究科, 教授 (80283828)
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研究分担者 |
古谷 浩志 大阪大学, 科学機器リノベーション・工作支援センター, 准教授 (40536512)
中山 典子 大阪大学, 理学研究科, 助教 (60431772)
本堂 敏信 大阪大学, 理学研究科, 招へい研究員 (90723924)
当真 要 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (10514359)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | マルチターン飛行時間型質量分析計 / 土壌起源ガスのフラックス測定 / オンサイトマススペクトロメトリー |
研究実績の概要 |
2018年度は、前年度までに構築した可搬型超高分解能質量分析計MULTUMと自動開閉土壌チャンバーを連結させた「6桁濃度が異なる土壌ガスのフラックス測定システム」を愛媛大学農学部附属農場に持ち出し、フィールド観測を2018年9月と2019年3月に計2回実施した。実際に畑から放出される亜酸化窒素と二酸化炭素、およびメタン(2回目のみ)濃度の連続測定を行った。 9月に実施した1回目のフィールド観測では、2分毎のガス濃度測定を、6日間連続で実施した。土壌チャンバーをクローズ状態にした20分間の濃度変化から、1時間に1サイクルでフラックスを求めた。土壌から放出される亜酸化窒素と二酸化炭素のフラックスが、降雨後1時間以内に急激に増加することを初めて捉えることができた。しかし、1回目の観測時点では、亜酸化窒素 について10 ppbv以下の微小な濃度変動を測定する精度を達成できていいなかった。これを改善するため、ガスクロマトグラフィー(GC)部や質量分析計のセッティングを最適化することで、イオン検出強度を3~4倍程度に増強し、また各フラックス測定の前後に標準ガスを挟み込む測定シーケンスに変更することで、感度ドリフトの改善と測定精度向上を果たした。 3月に行った2回目のフィールド観測では、2週間の連続観測を実施した。観測データの解析中であるが、観測経過は順調であり、測定精度の向上ならびに感度ドリフトの補正は想定通り達成された。またフィールド観測中に亜酸化窒素・二酸化炭素・メタンの3種混合標準ガスを用いて、本研究で開発したMULTUM+自動開閉土壌チャンバー法(大阪大学)と従来法であるGC法(愛媛大学)による相互比較も実施した。両者ともに保証値と良く一致し、開発したMULTUMシステムによる濃度差6桁の異なるガスの同時定量測定の妥当性を確認することができた。
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