キンラン等の混合栄養植物は根に共生する菌根菌からも炭水化物を受け取ることで生きているが、移植等の保全措置が難しいことで知られる。本研究によって、キンランは開空度が20%を超えるような環境下では光阻害によって光合成活性が低下すること、暗い環境下で菌への炭水化物依存度を高めるような適応はしていないことなどが明らかにされた。移植地の選定において適度な光環境の場所を選ぶことが必要であろう。炭素安定同位体比の経年変化の解析から、一部のキンラン移植個体では4年後に菌根菌との共生が再構築され、生育も回復傾向にあることが確認された。混合栄養植物の移植成否判断に安定同位体比が利用できることを示唆している。
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