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2018 年度 実施状況報告書

日用品からのナノプラスチック生成ポテンシャル定量方法の確立と環境試料への適用

研究課題

研究課題/領域番号 17K20062
研究機関京都大学

研究代表者

田中 周平  京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)

研究期間 (年度) 2017-06-30 – 2020-03-31
キーワードマイクロプラスチック / ナノプラスチック / 生成ポテンシャル / 日用品
研究実績の概要

10μmレベルのマイクロプラスチックの採取、前処理、計測、同定の手順を開発し、表層水、底泥、下水、下水汚泥中のマイクロプラスチックの存在実態が徐々に明らかとなってきた。特に、水環境中におけるマイクロプラスチックに吸着した微量有機化学物質について、粒径に着目し査読論文として土木学会論文集G(環境)に発表した。その中で、粒径が小さくなるにつれて単位重量あたりの微量有機化学物質の吸着量が大きくなることが分かり、現在、環境中で注目されている10μmレベルのマイクロプラスチックには、高いものでは300万倍程度の化学物質が、周辺の環境水と比べて存在していることが分かってきた。その他、路面塵埃(アジア3都市の路面塵埃におけるマイクロプラスチックの存在実態の把握)、下水処理工程(下水処理工程におけるマイクロプラスチックの挙動調査と負荷量の推定)、魚貝類中への蓄積(琵琶湖・大阪湾における魚貝類中のマイクロプラスチックの存在量とその肛門径の関係)などについて5編の口頭発表を行った。内、魚貝類への蓄積についての発表により優秀発表賞を受賞した。魚類の消化管へのマイクロプラスチックの蓄積傾向は、これまで測定してきた100μm以上と今回測定することができるようになった10~100μmレベルでは、大きく異なることが分かってきた。魚類は10μmレベルのマイクロプラスチックを数十個程度消化管の中に蓄積しており、今後、この大きさでの挙動の把握が重要となると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

表層水、底泥、下水、下水汚泥、魚貝類別に効率的な前処理方法を検討し、顕微FT-IRのマッピング手法を駆使することで10μmレベルのマイクロプラスチックの同定に成功している。現在は、水道水を対象に1μmレベルのマイクロプラスチックを同定するために、2次元アレイを用いた高速FT-IRイメージング技術を取り入れ、理論的には1.1μm四方のマイクロプラスチックの同定が可能な環境が整いつつある。

今後の研究の推進方策

2次元アレイを用いた高速FT-IRイメージング技術を取り入れて検討を行っているが、現在、1.1μm四方を対象とした場合、1試料当たり約8時間の分析時間がかかると予想されている。最終的には、1試料当たりの分析時間を30分程度にまで短縮するための工夫を凝らしていく予定であり、おおよそその手順については見当がついてきたところである。さらに分析後の解析方法の効率化にむけても検討を重ねていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

<理由>
昨年までに購入している標準試薬やプランクトンネットでまかなえた部分が多かったため、経費の一部を次年度に繰り越すこととなった。また研究代表者の研究室において、顕微FTIRが導入されたため、他大学で借りる必要がなくなり、予定をしていた出張を行う必要がなくなった。
<使用計画>
顕微FTIRの導入にともない発生する定期交換消耗部品を購入する。また、サンプル数の増加に対応するため、分析補助員の人件費を予定している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] 水環境中におけるマイクロプラスチックの粒径に着目した微量有機汚染物質の吸着特性2018

    • 著者名/発表者名
      雪岡聖, 田中周平, 鍋谷佳希, 鈴木裕識, 藤井滋穂, 高田秀重
    • 雑誌名

      土木学会論文集G(環境)

      巻: 74(7) ページ: Ⅲ-527-Ⅲ-535

    • DOI

      doi:10.2208/jscejer.74.III_527

    • 査読あり
  • [学会発表] 下水処理工程におけるマイクロプラスチックの挙動調査と負荷量の推定2019

    • 著者名/発表者名
      田中周平, 垣田正樹, 雪岡聖, 藤井滋穂, 鈴木裕識, 高田秀重
    • 学会等名
      第53回日本水環境学会年会
  • [学会発表] ネパール国カトマンズ市街におけるマイクロプラスチック汚染の現況調査と劣化指標の検討2019

    • 著者名/発表者名
      岡本萌巴美, 田中周平, 雪岡聖, 牛島大志, 垣田正樹, 近藤泰仁, 藤井滋穂, Sangeeta Singh
    • 学会等名
      第53回日本水環境学会年会
  • [学会発表] 琵琶湖・大阪湾における魚貝類中のマイクロプラスチックの存在量とその肛門径の関係2019

    • 著者名/発表者名
      近藤泰仁, 田中周平, 雪岡聖, 牛島大志, 垣田正樹, 岡本萌巴美, 藤井滋穂, 高田秀重
    • 学会等名
      第53回日本水環境学会年会
  • [学会発表] アジア 3都市の路面塵埃におけるマイクロプラスチックの存在実態の把握2018

    • 著者名/発表者名
      雪岡 聖, 田中周平, 鈴木裕識, 鍋谷佳希, 牛島大志, 垣田正樹, 藤井滋穂, 高田秀重, Quang Tran Van, Sangeetha Sign
    • 学会等名
      環境化学討論会
  • [学会発表] Behavior of Microplastics in Primary, Secondary, Tertiary, and Sludge Treatment Processes in Wastewater Treatment Plants in Japan2018

    • 著者名/発表者名
      Masaki Kakita, Shuhei Tanaka, Yuji Suzuki, Satoru Yukioka, Yoshiki Nabetani, Taishi Ushijima, Shigeo Fujii and Hideshige Takada
    • 学会等名
      The North Pacific Marine Science Organization (PICES) -2018
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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