研究実績の概要 |
10μmレベルのマイクロプラスチックの採取、前処理、計測、同定の手順を開発し、表層水、底泥、下水、下水汚泥中のマイクロプラスチックの存在実態が徐々に明らかとなってきた。開発した手法をもとに琵琶湖流域の下水処理場4か所におけるマイクロプラスチックの挙動調査を実施し、琵琶湖への負荷量を推定した結果を土木学会論文集G(環境)に発表した(下水処理工程におけるマイクロプラスチックの挙動と琵琶湖への負荷量の推定)。その結果、下水、処理水、汚泥、スカムなどから合計30種類のマイクロプラスチックが検出され、流入水中のマイクロプラスチック個数密度は158~5,000個/m3であった。放流水中では0.3~2.2個/m3であり、放流先の琵琶湖水中の個数密度と同等であった。一方、10~100μmのマイクロプラスチックの除去率は76.3%であった。100μm未満のマイクロプラスチックの除去は急速砂ろ過を行っても不十分であると示唆された。4つの下水処理場からの合計負荷量は501,630個/日と推計され、晴天時の琵琶湖流入河川からの総負荷量とほぼ同じであることが示された。 その他、紫外線照射による劣化試験(紫外線照射および路上を模擬した物理作用によるマイクロプラスチックの生成試験)、魚貝類中への蓄積(琵琶湖・大阪湾における魚貝類の肛門径に着目した10μm以上のマイクロプラスチックの存在実態)などについて2編の口頭発表を行った。 1μmレベルのマイクロプラスチックを同定するために、2次元アレイを用いた高速FT-IRイメージング技術を取り入れ、最小1.1μm四方のマイクロプラスチックの同定が可能となった。
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