研究課題/領域番号 |
17K20068
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
立田 晴記 琉球大学, 農学部, 教授 (50370268)
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研究分担者 |
佐々木 健志 琉球大学, 農学部, 教務職員 (40264478)
松尾 行雄 東北学院大学, 教養学部, 教授 (40323117)
山中 武彦 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農業環境変動研究センター, 上級研究員 (50354121)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | ニイニイゼミ / 音源分離 / 鳴音 / 種 / 自動判別 / 分類 / 周波数 |
研究実績の概要 |
2017年度は石垣島において,6月初めより7月中旬までイシガキニイニイの発生を毎日確認したが,本種と思われた個体を確認することはできなかった.そこで一昨年に記録された音声と位置情報を使い,データの再整理をおこなった.またこれまで録音されたニイニイゼミ属5種の音声形質データを用いて比較をおこない,イシガキニイニイとヤエヤマニイニイにとりわけ着目した解析を実施した.ヤエヤマニイニイは石垣島の他,西表島にも生息しているなど分布が広域にわたるため,複数の地点で録音した鳴音の比較を実施したが,種内変異は当初想像したスケールよりも小さかった.また広域に分布するニイニイゼミでは鳴音の特徴に地域間で大きな違いがあることがわかり,今後分類学的再検討を含めた詳細な分析を進める必要があることが判明した.また今回対象種とはなっていないクロイワニイニイとニイニイゼミについても形態的に酷似していることから,鳴音を使った種判別が可能かどうか検討する必要があると思われた.さらに音源分離解析に向けた予備実験として,石垣島で通常確認されるセミ5種(イシガキニイニイ、ヤエヤマニイニイ、ツマグロゼミ、クマゼミ、ヒメハルゼミ)の鳴音をマルチチャンネル録音装置で記録し,各種セミを識別するためのアルゴリズムを提案した.また記録された音声データを用いて,構築したアルゴリズムの分離性能に関する評価をおこなった.これらの結果を踏まえ,研究参画者らとともに,次年度実施する項目について話し合いをもった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
音源分離解析の下準備は着実に進んでおり,イシガキニイニイ以外のニイニイゼミ音声の解析もかなり進んだ.これについては原著論文を準備する段階まで差し掛かっている.
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今後の研究の推進方策 |
イシガキニイニイとヤエヤマニイニイの種の特徴をあらわす鳴音構造については抽出ができたので,種識別アルゴリズムを用いたアンドロイド用アプリの制作に取り組む.アプリ制作が成功すれば,これを広く頒布し,関心のある方々にセミ分布調査に参加していただくことが出来るだろう.これは新たなセミ生息地の発見に繋げられる大きな一歩となる.
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次年度使用額が生じた理由 |
科研費の交付開始時期が遅延したため,既に開始していた野外調査では運営費交付金などの他予算を充てた.また録音装置などを購入する予定であったが,予算遅延のため購入を見送った.2018年度に録音装置や解析用ノートパソコンなどを購入する予定である.
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