研究課題/領域番号 |
17K20071
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
大久保 雅章 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40223763)
|
研究分担者 |
黒木 智之 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00326274)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | プラズマ / 二酸化炭素 / 火力発電所 / 燃料化 |
研究実績の概要 |
平成30年度は引き続き前年度の研究を継続し,吸着部と放電部の整合性を確認するなど,不足点の検討を重点的に行った。なお実験は,模擬排ガス(ボンベ標準ガスを混合して作成)で原理と性能を確認した。 非熱プラズマを用いた CO2の燃料化技術は,地球温暖化対策の有力な方法であり,RITE(公益財団法人地球環境産業技術研究機構)作成のロードマップにも報告されているが,必要とするプラズマ電力が大きく,実用化のためには革新的なエネルギー効率向上(一桁向上)を要する。本システムの吸着・プラズマ脱着・濃縮・還元のアイデアによりこれをクリアする。 本挑戦的研究で最終的に検討する,プラズマクリーンテクノロジによるGTCC発電所のCO2ゼロエミッションシステムの完成形について検討した。システムは 1700℃クラスGTCC 火力発電所,H2供給源,2個の触媒併用プラズマリアクタ,脱硝SCR触媒,CO2還元人工光合成光触媒,CO2吸収濃縮装置を備えている。発電所で発電したエネルギーの一部でプラズマリアクタを駆動し,排ガスボイラからの排ガス中の CO2をプラズマ還元し,燃料化してガスタービンの燃料とする。一方,水素供給装置と大気中の窒素から,もう一つのプラズマリアクタBによりルテニウム触媒等を併用してアンモニア(NH3)を形成し,脱硝 SCR(選択触媒還元法)の上流に吹き込むことにより,燃焼排ガス中のNOxを還元して無害化する。以上により,煙突から大気に放出される排ガスは,CO2,NOxが極限まで低減されたスーパークリーンな排ガスとなる。実験室での要素実験により本システムの成立可能性を検討することができた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験項目は,(1)システム設計試作,(2)プラズマ部設計試作と最適化,(3)実験実施(吸着・脱着と還元),(4)結果の解析とまとめ(GTCC火力発 電所のCO2ゼロエミッション化検討),の4つであるが,(1)~(4)は今年度はひととおりの試験,解析を実施することができた。不足分を来年度も十分に行っていき,成果の公表にもさらに力を入れる。(3)の実験に関しては,装置の改良に時間がかかったが,2018年度中に繰り返し実験を実施することができた。実験を継続し,装置の改良を実施し,来年度にさらに高い性能が実証でき,実験を完遂できるような研究計画を作成していく。
|
今後の研究の推進方策 |
当該システムにより,脱着時のガスに希ガスを混合してシステムの性能向上を図る実験を完了する。またCO2をプラズマにより原子状Cに還元できたかどうかについては,結果の十分な検証を行う。すなわち,研究目的をより精緻に達成するための更なる実験を行う。CO2還元で形成される微粒子,副生成物の計測を十分に行い,反応機構の解明を引き続き行いたい。また論文投稿,学会参加発表も推進する方策である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度に,当該システムにより,脱着時のガスに希ガスを混合してシステムの性能向上を図る実験が完了できなかった。またCO2をプラズマにより原子状Cに還元できたかどうかは,結果の十分な検証ができておらず,研究目的をより精緻に達成するための更なる実験を行う必要がある。CO2還元で形成される微粒子,副生成物の計測を十分に行い,反応機構の解明を引き続き行いたい。また論文投稿,学会参加発表も行う計画である。
|