前年度までの研究を継続し,吸着部と放電部の整合性を確認するなど,不足点の検討を重点的に行った。なお実験は,模擬排ガス(ボンベ標準ガスを混合して作成)で原理と性能を確認した。非熱プラズマを用いた CO2の燃料化技術は,地球温暖化対策の有力な方法であり,RITE(公益財団法人地球環境産業技術研究機構)作成のロードマップにも報告されているが,必要とするプラズマ電力が大きく,実用化のためには革新的なエネルギー効率向上(一桁向上)を要する。本システムの吸着・プラズマ脱着・濃縮・還元のアイデアによりこれをクリアする。 プラズマクリーンテクノロジによるGTCC発電所のCO2ゼロエミッションシステムの完成形について検討した。システムは1700℃クラスGTCC 火力発電所,H2供給源,2個の触媒併用プラズマリアクタ,脱硝SCR触媒,CO2還元人工光合成光触媒,CO2吸収濃縮装置を備えている。発電所で発電したエネルギーの一部でプラズマリアクタを駆動し,排ガスボイラからの排ガス中の CO2をプラズマ還元し,燃料化してガスタービンの燃料とする。一方,水素供給装置と大気中の窒素から,もう一つのプラズマリアクタBによりルテニウム触媒等を併用してアンモニア(NH3)を形成し,脱硝 SCR(選択触媒還元法)の上流に吹き込むことにより,燃焼排ガス中のNOxを還元して無害化する。以上の実験室での要素実験により本システムの成立可能性を検討することができた。 さらには当該システムにより,脱着時のガスに希ガスを混合してシステムの性能向上を図る実験を完了した。またCO2をプラズマにより原子状Cに還元できることの検証を行った。CO2還元で形成される微粒子,副生成物の計測を十分に行い,反応機構の解明を行った。また論文投稿,学会参加発表を行った。
|