研究実績の概要 |
森林バイオマス(含む樹園地)の土壌環境データベースを構築するため、全国139か所の土壌肥沃度指標(SOFIX)分析を実施し、データベースを構築した。本データベースから、森林バイオマス(含む樹園地)の総炭素総窒素量、総リン量、総カリウム量の平均値は、それぞれ24,000 mg/kg、1,460 mg/kg、5,370 mg/kgであり、有機物が蓄積傾向であった。これらの数値は、畑と水田に比べると、総炭素量と総カリウム量は多い傾向にあった。これは、落葉・落枝中の成分と連動しており、これらが土壌へ蓄積することが原因であると思われた。また細菌数の平均値は7.4×108 cells/gであり、水田と畑の間の数値に位置していた。 本研究環境データベースから、森林バイオマス(含む樹園地)の基準値(minimum value)は、総細菌数≧2.0×108 cells/g、総炭素量≧12,000 mg/kg、総窒素量≧1,000 mg/kg、総リン量≧1,000 mg/kg、総カリウム量≧1,500 mg/kgであり、推奨値(recommended value)は、総細菌数≧6.0×108 cells/g総炭素量≧25,000 mg/kg、総窒素量≧1,500 mg/kg、総リン量≧1,100 mg/kg、総カリウム量:2,500~10,000 mg/kgであると判断した。 森林バイオマスである木質バイオマスと草本系バイオマスを主要な土壌成分として、土壌肥沃度指標の最適値に合わせた有機土壌を作製した。本有機土壌を用いた植物栽培において、小松菜、シュンギク、マメ、トウモロコシ等において、化学肥料を用いた栽培と比べると1.2~1.4倍高い植物成長を得た。森林や草本由来バイオマスが有機土壌として十分に機能することが明らかになった。
|