研究課題/領域番号 |
17K20075
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
伊藤 克敏 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, 主任研究員 (80450782)
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研究分担者 |
太田 耕平 九州大学, 農学研究院, 准教授 (10585764)
伊藤 真奈 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 瀬戸内海区水産研究所, 研究員 (60735900)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 無菌化生物 / 海産ミミズ / ノトバイオート / 化学物質分解菌 / 多環芳香族炭化水素 |
研究実績の概要 |
本研究では、無菌化した海産ミミズを作成し、無菌化していない個体とで、化学物質分解能力や汚染耐性等の、生理機能に違いが生じるのかを明らかにする。さらに、化学物質分解菌を、無菌ミミズに定着させたノトバイオート海産ミミズを作成し、各種汚染化学物質に即した分解菌を定着させ、汚染物質分解に特化したノトバイオート海産ミミズを用いた極めて効果的・革新的な底質浄化法の開発を最終的な目的としている。 本年度は、作成した低菌化海産ミミズに3種類の異なる種類の化学物質分解菌の定着を試みた。具体的には、低菌化した海産ミミズに、予め培養した化学物質分解菌を人工海水で希釈し、低菌化した海産ミミズの飼育水槽に一定量加えた。菌を加えて一定期間インキュベータ内で培養後、低菌化海産ミミズ、化学物質分解菌を定着させたノトバイオート海産ミミズ、及び天然海産ミミズを用い化学物質耐性試験(多環芳香族炭化水素)を行った。その結果、低菌化ミミズは、天然海産ミミズに比べ、化学物質耐性が低いこと、さらに、定着させた分解菌の違いにより、化学物質耐性に差があることが明らかとなった。この結果から、海産ミミズの化学物質耐性には、内在菌が極めて重要な役割を担っていることが明らかとなった。今後は、化学物質分解試験を実施すると共に、菌の種類、培養期間等の詳細を検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、作成した低菌化海産ミミズ、ノトバイオート海産ミミズ、及び天然海産ミミズを用い化学物質耐性試験を行い、低菌化ミミズは、天然海産ミミズに比べ、化学物質耐性が低いこと、さらに、3種類の化学物質分解菌を、低菌化ミミズに添加した結果、化学物質耐性に分解菌の違いにより差があることが明らかとなった。以上のように、当初の計画通り進行していることから、自己点検による評価をおおむね順調に進展しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
作成した低菌化海産ミミズ、ノトバイオート海産ミミズ、及び天然海産ミミズを用い化学物質分解試験、及び汚染耐性試験を行い、化学物質分解能や貧酸素耐性・高硫化物耐性を検討する。試験終了後、メッセンジャーRNAを抽出し、これまでに確立したリアルタイムPCR系にて機能遺伝子の増減を測定する。各種操作が、海産ミミズの生理機能にどの様な影響を与えているのかを検討し、海産ミミズの有する高い化学物質分解能・汚染耐性に内在菌がどの様に関与しているのかその全容解明に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費を計上していたが、共同研究者および研究効力者の協力もあり、業務を円滑に遂行することが出来た。また、当初の予定に比べ、試薬等が安く購入できたため、計上していた費用を削減できた。削減できた費用は、細菌叢網羅解析等の外注費予算に補充する予定である。
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