研究課題/領域番号 |
17K20078
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松田 直 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (50361100)
|
研究分担者 |
齋藤 昌利 東北大学, 大学病院, 講師 (00451584)
北西 龍太 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20436116)
埴田 卓志 東北大学, 大学病院, 助教 (30400360)
渡邊 真平 東北大学, 大学病院, 助手 (70509413)
|
研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
|
キーワード | ヒツジ / 胎仔 / 新生児仮死 / 新生児遷延性肺高血圧 / 人工胎盤 / 蘇生 |
研究実績の概要 |
近年の新生児集中治療の発展によってわが国の新生児死亡率は著しく改善したものの,重症仮死で生まれた新生児では未だその蘇生と治療に苦慮することが稀ではない.本研究は重症仮死で生まれた新生児を,従来の人工呼吸ではなく,胎盤型補助循環 (ポンプレス人工胎盤システム) で蘇生しようとする世界初の試みである.本研究期間内には,たとえ出生前の低酸素負荷によって重症仮死に陥っても,人工胎盤回路を装着させて速やかに蘇生すれば安全に全身管理できることを,ヒツジ新生仔を用いて実験的に証明する. 妊娠145日 (満期147日) に妊娠ヒツジを帝王切開して胎仔を露出させ,ランダムに対照群,人工換気群,人工胎盤群の3群に分け,対照群は蘇生せず一般的なケアだけで経過観察する.人工換気群ならびに人工胎盤群では臍帯圧迫による急性低酸素を30分間負荷してから臍帯を切離し,それぞれの方法で蘇生と集中治療を実施する.人工換気群では人工呼吸に基づく新生児集中治療を行い,生後24 時間以内に自発呼吸での管理を目指す.人工胎盤群はポンプレス人工胎盤回路に接続して全身管理し,充分な自発呼吸が確認できれば,人工胎盤回路を遮断して接続部を抜去する.3群とも生後24時間まで保育器内で経過観察する. 平成30年度は妊娠145-146日の妊娠ヒツジを用いて合計6回の実験を計画したが,1回は受胎が得られず,1回は子宮内胎仔死亡となり実験を完遂できなかった.そのため合計4回 (対照群 3例,人工換気群 1例) の実験からデータを得た.対照群は当初は蘇生の必要はないと考えられていたが,母体麻酔の影響で出生直後の自発呼吸は乏しいため,覚醒までの時間 (約2時間) は人工換気を要した.人工換気を用いた蘇生では,蘇生後6時間で人工換気から離脱可能となった.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成30年度は妊娠145-146日の妊娠ヒツジを用いて合計6回の実験を計画したが,1回は受胎が得られず,1回は子宮内胎仔死亡となり実験を完遂できなかった.そのため合計4回 (対照群 3例,人工換気群 1例) の実験からデータを得るにとどまった.
|
今後の研究の推進方策 |
本仮説を証明するために来年度は6例の実験を予定する.
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度は妊娠145-146日の妊娠ヒツジを用いて合計6回の実験を計画したが,1回は受胎が得られず,1回は子宮内胎仔死亡となり完遂できたのは4回であった.そのため必要とした薬品や消耗品代金が少なく残額が生じた.次年度は当初の予定よりも実験数を増す必要があるため,生じた残額はその必要物品の購入費とする.
|