研究課題/領域番号 |
17K20079
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
穴田 貴久 九州大学, 先導物質化学研究所, 准教授 (30398466)
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研究分担者 |
鈴木 治 東北大学, 歯学研究科, 教授 (60374948)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 細胞・組織工学材料 / 軟骨細胞 |
研究実績の概要 |
内軟骨性骨化は骨形成過程の一つであり、軟骨により雛形が形成され骨に置き換わる発生過程である。我々はこれまでに酸素濃度が三次元培養した場合に細胞の生存や分化に大きな影響を与えるという知見を得ている。細胞分化において細胞周囲のマイクロスケール環境や成長因子などの濃度勾配が重要な役割を果たすと考えられている。しかしながら、気体分子である酸素の濃度を制御し、酸素濃度勾配を細胞に与えることは難しく、酸素濃度勾配の軟骨分化に与える影響について検討した研究は少ない。そこで本研究では新規三次元細胞培養法を提案し、これまでにない間葉系幹細胞から軟骨細胞分化と血管侵入という内軟骨性骨化を生体外で再現、再構築することを目指し、骨発生機序のモデル培養系を確立することを目的とする。三次元培養した幹細胞組織体の周囲に酸素濃度勾配を生じさせることができる培養デバイスを設計、作製し、生体を模倣した長軸方向に軟骨細胞の分化勾配のある三次元組織体を作製する。酸素濃度勾配は、培養デバイス中の培地に大気から供給される酸素量と細胞組織体により消費される酸素量のバランスにより生じる。作製した三次元組織体の軟骨分化について評価を行う。当該年度は昨年度に引き続き、マウス軟骨細胞株を培養モジュールに充填し、軟骨細胞分化誘導培地を使って培養を行った。培養には酸素濃度勾配を形成するための培養デバイスを作製した。培地はインシュリンやTGF-b3などの成長因子を含む軟骨細胞分化誘導培地を用い、3から4週間培養し、軟骨細胞分化を誘導した。軟骨細胞が培養でき、分化が誘導されることが確かめられ、さらなるデバイスの改良や培養条件の最適化を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が東北大学から九州大学へ移動したため遅れが生じており、一年間の延長を申請し、受理された。
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今後の研究の推進方策 |
培養デバイスの改良及び細胞培養条件の検討を詳細に行い酸素濃度についても検討する。細胞を回収し、種々の生化学的手法により分化条件の最適化を行う。また、細胞塊の組織切片を作製し、種々の染色法により軟骨分化の確認を行う。学会発表や論文投稿について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が東北大学から九州大学へ異動したため研究に遅れが生じた。異動先において実験環境の再セットアップのために使用する。
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