研究分担者 |
藤本 敏彦 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (00229048)
久保 均 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (00325292)
伊藤 浩 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20360357)
渡部 浩司 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (40280820)
|
研究実績の概要 |
本研究においては、「PET/MR装置のMRSとPETの同時測定」という利点を最大限に生かして、健常者の脳および下肢骨格筋を測定対象とした、運動負荷時の筋代謝物濃度とブドウ糖取り込みの関係性を検証するための臨床測定を実施した。健常男性を対象として、FDG-PETとMRSの所見を組み合わせれば脳および筋の生理学における新しい知見を得ることができると期待されていた。予備的測定の結果、結果を考察しうる測定が可能であることが示唆され、運動負荷として「その場駆け足」課題を用いることで観察に足る十分な負荷が得られることが確認されていた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症蔓延の影響で測定施設が使用できなくなり、2019年に測定を完了することができなかった。その結果、本格的な測定は2020年度に延期されていた。2019年度から2020年度にかけて5名の被験者を対象としてPET/MR測定を行い、脳測定において以下の所見が得られた。 脳の代謝物変化は運動時に代謝物濃度の増加または減少を示した部位が観察された。前頭葉ではPCrとNAAGの増加が、海馬領域ではPCr, Ins, NAAの増加およびCr, GABA, Gln, GSHの減少が、運動野ではInsとNAAGの増加が観察された。このように脳部位によって、代謝物の変化が異なっており、相応の感度で測定ができたものと考えられた。 加えて、PETで測定した脳糖代謝は運動時に前頭葉では低下傾向、運動野では増加傾向が観察されたが、両者の関係性については今後のさらなる検討が必要と考えられた。また、下肢骨格筋データについては解析中に未知のエラーが発生し、現在解決に向けて努力を続けている。
|