研究課題/領域番号 |
17K20085
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
寺村 裕治 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (10365421)
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研究分担者 |
児玉 智信 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (70449932)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | PEG脂質 / 細胞表面修飾 / 間葉系幹細胞(MSC) / 脳梗塞 / E-セレクチン |
研究実績の概要 |
脳梗塞ラットモデルを用いて、脳梗塞部位へ間葉系幹細胞(MSC)を選択的にターゲッティグできる細胞表面修飾剤PEG脂質誘導体の開発を目指したものである。本年度では、MSCのターゲッティグを行うために、脳梗塞部位において選択的に発現していることが知られているE-セレクチンをターゲットとし、これに対する高親和性ペプチド(GGGDITWDQLWDLMK)を利用した。QCM-D測定とin vitro細胞実験から、高親和性ペプチド(ES-bp)を結合したPEG脂質によりMSCを表面修飾することで、 1。 PEG鎖末端に結合したES-bp結合PEG脂質で、細胞毒性が無く、ヒトMSCを表面修飾できる。 2。ヒトMSCへ導入したES-bpを介して、E-セレクチン発現モデル基板へ対して、MSCは特異的に接着する、 3。PEG鎖の分子量は、低分子量ではペプチドの効果を発揮しないが、高分子量にすることで、認識能がみられる ことが明らかになった、これらは、in vivoにおいても、E-セレクチンを特異的に認識して、接着することが期待できる結果になっている。また、脳梗塞モデルラットの作成にも成功している。イソフルラン吸入麻酔下のラットの頸部正中を切開し、外頚動脈を露出させる。外頚動脈を切開し、ここよりシリコンフィラメントを挿入。約一時間、中大脳動脈を閉塞して脳梗塞モデルを作製することができた。また、別の手法による脳梗塞モデルラットの作成も検討した。マイクロカテーテルにより、ラット自己血から作成した血栓を直接注入して、梗塞部位を作成するものである。この方法でも、脳梗塞モデルラットを作成できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
E-セレクチンに対する高親和性ペプチド(ES-bp)をPEG脂質へ結合させて、細胞表面へ導入することで、E-セレクチン発現部位(in vitroモデル)へ選択的にMSCを固定化することができたため、概ね順調に進展している。脳梗塞モデルラットに作成に時間が要し、今後も手法を改善する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
脳梗塞モデルラットへ、MSCの静脈投与を行い、投与量と脳梗塞治療への効果を検討する。また、E-セレクチンに対する高親和性ペプチド(ES-bp)をPEG脂質へ結合させて、MSCを就職し、脳梗塞部位へターゲッティングさせて、治療効果の向上を実証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
挑戦的研究(萌芽)の採択通知が7月に入ってからということもあり、研究の開始が当初の予定よりも遅れたことが理由の一つである。また、研究の進捗は、想定していたよりもスムーズに進み、今年度の実験材料費の支出を抑えることができたためである。
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