研究実績の概要 |
本課題では水平走査型光学顕微鏡であるWhole slide imaging(WSI)スキャナを用いた三次元イメージング技術の開発を目標としている.提案するWSIでは,走査画像の重複領域の視差解析を用いて三次元情報を焦点走査無しで再構成する.一方で,単純な実装では狭画角光学系により距離情報を符号化する視差の量が十分でないこと,倍率の高さから被写界深度が浅くセンシング過程における情報損失が多いことが問題であった. 視差量を拡大するために,瞳面位相変調に基づく光学的符号化手法を考案した[T. Nakamura: Opt. Lett 43, 5949 (2018)].光利用効率の損失が課題であるものの,対象距離及びベースライン長によらず柔軟に視差量を設計できる特性が理論及び実験により確認された.また,被写界深度の拡大のために,放射マスクを用いた符号化撮像法を提案した[T. Nakamura: Proc. COSI (2020) accepted].数値及び光学実験により,被写界深度拡大の効果が確認された.これらの要素技術を統合した光学系を構築途中であり,高速三次元WSIスキャナの具現化が期待される.
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