研究課題
令和元年度はマイクロ画像解剖学の創成に向けた以下の研究を実施した。(1) マクロ解剖画像からのマイクロ解剖画像の推定手法の実現:Fully convolutional network(FCN)を用いた超解像技術を応用し、マクロ解剖画像から高解像度の画像を推定する方法を検討した。マクロ解剖画像と高解像度画像を対応付ける手がかりは血管や解剖構造の輪郭等である。これらを基にマクロ解剖画像と高解像度画像間の局所的対応関係をFCN等で確立し、高解像度画像を推定する方法を検討した。(2) マイクロ解剖情報の診断治療支援における利用法の検討:手術後に摘出された胃等の標本をマイクロCT装置で撮影し、画像解析に用いた。マイクロCT画像から解剖構造を自動認識する方法を確立すると共に、正常組織と異常組織を自動認識する方法も開発し、診断支援情報の生成に結び付けることを検討した。マクロ解剖画像と比較して微細な解剖構造の変化を検出することが可能となった。(3) 医学教育におけるマイクロ解剖情報利用の検討:医学教育においてマイクロ解剖構造は手書きイラスト等で解説される場合が多いが、イラストは実際の解剖構造と異なる場合が多い。そこでマイクロCT等で実際の構造を撮影した画像を用い、解剖構造学習を実施すればより現実に即した医学教育が可能となる。そこで、マイクロCT画像等から得られたマイクロ解剖構造をインタラクティブに操作可能な3Dグラフィックス表示や、複雑な構造の把握に有利な3Dプリント実体モデルにより提示する方法を検討した。これにより、医学学生のマイクロ解剖構造の理解に貢献できると考えられる。
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すべて 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)