本研究課題では,超低磁場MRI(ULF-MRI)を生体応用する場合に課題となるMRI計測時間の延長を抑制した高速撮像法の実現,および新たな画像コントラストの創出として3次元磁束密度計測シーケンスの開発を行っている. 最終年度は,上記の課題に対して,高速撮像法として深層学習による超解像法を用いた高速撮像法について検討を行った.本手法では,MRI撮像における位相エンコードステップを減らし,撮像の高速化を図る.そして,位相エンコードステップの減少により低下した空間分解能を,深層学習を用いた超解像法を適用することにより回復させる.本研究では,U-Netを用いた実装を行い,分解能の回復が可能であったので,その有効性を公表した. また,高速撮像のためには計測の信号対雑音比を向上させることが重要であるため,低周波数の磁気信号に高い感度を有する光ポンピング磁気センサとフラックストランスフォーマを用いたMR信号検出器における信号対雑音比を最大化するため,フラックストランスフォーマの最適化に関する検討を行った.本研究では,フラックストランスフォーマのソレノイド型の入力コイルのワイヤ直径,巻数,層数などの最適値を数値解析および実測により探索し,最適なコイル設計指針を示した. 一方,磁束密度を計測するスピンロック撮像法では,spin-locked Mz法に着目し,振動磁場の振幅および位相の変動を計測する手法について検討を行った.本計測法に関して,spin-lock周波数やflip角などパルスシーケンス中のRFパルスのパラメータの計測対象となる振動する磁束密度に対する影響を評価し,振動磁場の位相情報の取得にはspin-locked Mz法が有効であることを示し,公表した.
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