研究課題/領域番号 |
17K20105
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
山本 雅哉 東北大学, 工学研究科, 教授 (10332735)
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研究分担者 |
田畑 泰彦 京都大学, ウイルス・再生医科学研究所, 教授 (50211371)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2020-03-31
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キーワード | 立体組織 / 光加工 / 幹細胞凝集体 / オルガノイド / 光形態制御 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、細胞同士が“つく”・“はなれる”という細胞機能(細胞結合)を光加工する技術を確立することである。このため、本研究では、研究項目①光反応性マトリックスの合成、および研究項目②上皮ー間葉相互作用による光形態制御について検討する。 平成30年度は、研究項目①に対して、メタクリレート基を導入したゼラチンなど、異なる光反応性マトリックスを合成し、その光反応性について検討した。その結果、紫外線照射により反応性を示すことがわかった。また、平成29年度に検討した磁性ナノ粒子を含有したハイドロゲルを用いたサンドイッチ培養法に対して、磁性ナノ粒子の磁気特性ならびに磁性ナノ粒子を安定にハイドロゲル内に固定化する方法について検討した。磁性ナノ粒子の表面をカルボキシ基を有する高分子で被覆後、ハイドロゲル内のアミノ基と共有結合を形成させることによって、磁性ナノ粒子をハイドロゲル内に固定化することができた。 一方、研究項目②に対して、平成29年度と同様にイヌ腎臓尿細管上皮細胞(MDCK細胞)を用いたサンドイッチ培養の検討に加えて、マウス小腸上皮由来の未分化細胞を用いた、腸オルガノイド培養系の確立を行った。この未分化細胞から細胞凝集体を形成させ、コラーゲンゲル内で培養することにより、腸オルガノイドが形成されることを確認することができた。以上により、マウスの胎児から細胞を都度単離する必要がなく、細胞凝集体から管腔状のオルガノイドを形成させる実験系を準備することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に京都大学より異動し、研究環境の整備に時間を要したため少し計画が遅れていたが、マウスの胎児の細胞に代えて、マウス小腸上皮由来の未分化細胞を用いることによって、研究をより簡便に進めることができるようになった。このため、計画通り研究が遂行できる見込みであると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
光反応性マトリックスの合成を推進する。すなわち、細胞接着に関係する分子、形態形成に関するカドヘリンなどの高機能性をもつマトリックス分子に対して光反応性を付与する。得られた光反応性マトリックスを用いることによって、MDCK細胞あるいは小腸上皮由来の未分化細胞からなる立体組織の形態形成制御について検討する。これにより、研究目的の達成を目指す。
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