研究課題/領域番号 |
17K20108
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
成瀬 恵治 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (40252233)
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研究期間 (年度) |
2017-06-30 – 2019-03-31
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キーワード | メカノメディスン / メカノバイオロジー / 静水圧 / 圧力 / 機械刺激 |
研究実績の概要 |
我々のからだは常に外界から物理的刺激を受け適切に反応している.この過程を生物学的に解明するメカノバイオロジーの理論に基づいた病態解明・治療法を探索するメカノメディスンは現在脚光を浴びている.しかしながら、主要な機械刺激である静水圧は重要であるにもかかわらず研究の進捗が遅れている.静水圧刺激を細胞・組織に適切に負荷し、そのメカノトランスダクションを解析する技術が十分に開発されていないからであろう.そこで申請者は静水圧負荷・解析システムの最適化を行うことにより、細胞内情報伝達機構の解明、更には再生医療・不妊治療への応用を目指した研究を提案する.具体的には、本申請提案では数十MPaの圧力負荷システム開発・最適化および、細胞内情報伝達系の計測・解析をすることにより、適切な圧力・タイミング・時間などを歯根膜細胞や生殖細胞を対象として検討する. 初年度は、圧力負荷システムの構築と圧力負荷した細胞内情報伝達経路の観察を実施予定であった.まず、高圧セルを現有の蛍光顕微鏡システム上に構築し歯根膜細胞の細胞動態計測並びに細胞骨格分子の蛍光観察に成功した.その結果、静水圧は細胞に対して当方向に負荷されるのに対して、歯根膜細胞の収縮は一方向性であった.これは、細胞内の細胞骨格の方向性に依存すると推察される.さらに、比較的大容量での加圧システムの構築に成功し、遺伝子の網羅的解析が可能な環境整備も完了した.今回の計測系の整備は、次年度の生殖細胞に対する加圧負荷応答の計測にも重要となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度において、高圧セルを現有の蛍光顕微鏡システムと組み合わせ、細胞内情報伝達系の蛍光観察に成功した.さらに、大容量での加圧システムの構築に成功し、遺伝子の網羅的解析が可能な環境整備も完了した. 膜流動性の定量や圧力センシング受容体の探索に向けた計測を現在実施中であるため、本研究計画はおおむね順調に進展していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
初年度に構築した圧力負荷システムを用いて、細胞内伝達系の圧力依存性の定量を実施していく.さらには、歯根膜細胞のみならず、生殖細胞を用いた計測を実施し、生殖医療の発展にむけた知見創出に全力を尽くしたい.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画よりも加圧システム構築への費用が抑えられたことと、次年度の計測実施を加速させるため次年度に使用額を繰り越す.
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