研究課題
本年度は、腫瘍免疫抑制解除システムの創出に向けて、免疫抑制性細胞や免疫担当細胞を強力に活性化するためのアジュバント機能分子・ナノキャリア、および抗原デリバリーキャリアの開発と、免疫抑制細胞モデル作製の検討を行った。1. pH応答性高分子による免疫誘導メカニズムの解明:前年度に、疎水性の高い側鎖構造を持つ多糖誘導体が、従来よりも数百倍高いアジュバント作用を示すことを明らかにしたが、これがエンドソーム膜の破壊能とよく相関していることを明らかにした。エンドソーム膜の破壊によって誘導された炎症応答によってアジュバント機能が高まったものと考えられる。また、前年度に開発した抗原提示細胞への特異性を持たせるためにマンノース残基を導入したpH応答性高分子修飾リポソームは、抗原のクロスプレゼンテーションを極めて効率よく誘導し、これが細胞によるリポソームの取り込みとよく相関していることを明らかにした。2. 免疫抑制細胞モデルの作製:前年度に開発した正電荷脂質と多糖誘導体をハイブリッド化したリポソームを用いて、免疫抑制解除システムを開発するために、さまざまな条件で培養したマクロファージのサイトカイン産生能、表面マーカーの発現量を調べ、腫瘍細胞の培養液で所定時間培養した細胞が、免疫抑制モデルとして利用できることがわかった。この細胞をリポソームで処理したところ、M1型マクロファージから産生されるサイトカインの分泌が確認されたため、本リポソームが免疫抑制的に傾いた細胞を免疫活性化型へ再極性化できることが示唆された。
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Macromolecular Bioscience
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