研究課題/領域番号 |
17K20142
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
池上 宗信 法政大学, 経済学部, 教授 (70814424)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インデックス保険 / 干ばつ / 乾燥地 / 家畜 / 遊牧 / 貧困の罠 / エチオピア |
研究実績の概要 |
研究課題3(保険の長期的な経済効果)、研究課題4(保険需要のダイナミクス)、研究課題5(牧畜家計の貧困の罠と保険需要)では、インデックス型家畜保険から得た学術的知見および政策的含意を共著の学術書(Escaping Poverty Traps and Unlocking Prosperity in the Face of Climate Risk: Lessons from Index-Based Livestock Insurance)としてまとめる作業を継続した。学術論文のように新たな問に答えるのではなく、2010年から実施されているインデックス型家畜保険から得た学術的知見および政策的含意を、2023年の時点で振り返り、まとめることの意義は大きい。エチオピア南部・ケニア北部の遊牧経済で観察された貧困の罠の解決策としてインデックス型家畜保険がなぜ有効と考えられるのか、どのように保険をデザインしたのか、どのように品質・販売を改善したのか論じている。また、保険の需要および牧畜家計へのインパクト、個々の牧畜家計向けの保険として始まり、政府・NGOの実施する社会保障政策としても採用されるに至った経緯、今後の課題を論じている。草稿の執筆を完了し、最終章を除く各章の改訂を行った。2023年度に、最終章の草稿を改訂し、英文出版社に提出する。 研究課題3、4のための500家計の追跡家計調査のデータクリーニングを完了した。2023年度にデータの分析、論文草稿の執筆に取り組む。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究課題3、4、5は、2019-2022年度に合計7本の論文を刊行しており、進捗に遅れはない。一方、研究課題1(保険需要を増大させうる政策の経済実験)、研究課題2(2017年の大幅な需要増加の要因)の進捗に遅れがある。 研究課題3、研究課題4では、インデックス型家畜保険から得た学術的知見および政策的含意を共著の学術書としてまとめる作業を継続した。草稿を執筆し、最終章を除く各章の改訂を行った。 研究課題3、4のための追跡家計調査のデータクリーニングを完了した。 研究課題2、4のためのインデックス型保険販売開始の2012年から2022年2月までの保険販売データをオロミア保険会社が提供するという合意を得たが、データの提供がまだなされていない。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題1、2の進捗が遅れているので、これらを最優先に研究を継続する。研究課題2、4のためのインデックス型保険の販売データの提供をオロミア保険会社に再度要請する。 研究課題1のための経済実験として、スマートフォンを用いた保険料の見積もり・保険販売を行うことをオロミア保険会社と協議したい。保険販売という保険販売員の販売努力の結果だけでなく、保険価格の見積もりから保険販売への変換率という、販売努力そのものにも基づいて、保険販売員に販売手数料を支払うことが可能となる。これら2つの政策によって、保険販売員の販売努力、保険販売が増加するかを問いたい。 研究課題3、4のための学術書の最終章の草稿を改訂し、英文出版社に提出する。 研究課題3、4のための追跡家計調査のデータを分析し、論文草稿を執筆する。
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次年度使用額が生じた理由 |
理由:研究課題1および2の進展の遅れが、2018-22年度に経費を執行せずに、その分を2023年度に執行することになった理由である。 使用計画:研究課題1のための経済実験の実施を委託する際の謝金・費用として支出する。研究課題2のための保険販売データのデータ構築・クリーニングを委託する際の謝金・費用として支出する。研究課題1-5の論文発表の際の旅費として支出する。
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