本研究はエチオピア南部ボレナ県およびケニア北部の乾燥地において旱魃および貧困の罠への対策として実施されているインデックス型家畜保険の需要および効果を分析した。1つ目の論文は、貧困の罠が存在する場合、食料援助よりも保険料への公的補助の方が長期の財政支出を抑制することを示した。2つ目の論文は、貧困の罠が存在する場合、インデックス型保険のインデックスと個々の家計の実際の被害とのギャップ(べーシス・リスク)の存在ゆえに、保険によって最も便益を受けるはずの貧困の罠の閾値に近い資産を保有する家計が、逆説的に保険を購入しないこと、保険価格に敏感に反応すること、保険料への公的補助の効果が大きいことを示した。
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