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2020 年度 実績報告書

視覚情報処理と行動制御の基盤となる神経メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K20147

研究代表者

久保 郁  国立遺伝学研究所, 新分野創造センター, 准教授

研究期間 (年度) 2018 – 2020
キーワード神経回路 / 視覚 / ゼブラフィッシュ / コネクトーム
研究実績の概要

前視蓋には、オプティックフロー視覚刺激に反応する様々なタイプの単眼性および両眼性ニューロンが存在する。オプティックフロー情報処理においてこれらの異なるタイプの細胞がどのように機能しているかを調べるために、前視蓋神経細胞の一部を遺伝学的に同定できるゼブラフィッシュGal4系統を選抜し、これら候補系統を用いて二光子顕微鏡による神経活動のカルシウムイメージングを行った。その結果、候補Gal4系統のうちの二系統は、単眼性オプティックフローに反応する神経細胞を標識していることが分かった。そのうちの一系統は、細胞体が前視蓋領域の腹側部に位置していること、およびオプティックフロー視覚刺激に反応したから、この系統において標識される細胞は、最近申請者らがイメージングにより同定した新規のオプティックフロー反応細胞群と一致すると考えられた(Wu et al., Neuron, 2020)。この系統を用いることで、この新規細胞群の機能解析を行うことが可能となり、このような解析を通して単眼性・両眼性ニューロンの機能的差異や相互作用に新たな知見をもたらす事が期待される。
さらに、オプティックフロー反応細胞の解剖学的な神経ネットワーク解析を行った。第一に、光学顕微鏡を用いた解析を行い、多くのオプティックフロー反応細胞は、前視蓋の神経繊維領域において密に神経突起を伸ばすことを示した。さらに、単眼性ニューロンと両眼性ニューロンは互いに異なる神経突起投射パターンを示すことを明らかにした(Kramer et al., Neuron, 2019)。第二に、電子顕微鏡画像データを用いてさらに微細な神経投射パターンを解析した結果、多くのオプティックフロー反応細胞は交連性の軸索を持ち、シナプスを介して直接神経接続していることが明らかになった(投稿準備中)。
これらの機能的および解剖学的アプローチを用いた相補的な解析は、オプティックフロー情報処理の神経ネットワークメカニズムに関する重要な知見をもたらしたと言える。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2020 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件) 備考 (1件)

  • [国際共同研究] マックスプランク研究所神経生物学/Center of advanced European studies and research(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      マックスプランク研究所神経生物学/Center of advanced European studies and research
  • [雑誌論文] An Optical Illusion Pinpoints an Essential Circuit Node for Global Motion Processing2020

    • 著者名/発表者名
      Yunmin Wu, Marco dal Maschio, Fumi Kubo, Herwig Baier
    • 雑誌名

      Neuron

      巻: 108 ページ: 722-734

    • DOI

      10.1016/j.neuron.2020.08.027

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] ゼブラフィッシュにおける錯視反応とその視覚情報処理回路2020

    • 著者名/発表者名
      久保 郁
    • 学会等名
      第18回 北海道大学脳科学研究教育センターシンポジウム 「感覚と運動の神経基盤の進化 ~非哺乳類脳から学ぶ計算原理~」
    • 招待講演
  • [学会発表] 錯視反応を用いた動きの視覚情報処理を担う神経回路の解析2020

    • 著者名/発表者名
      久保 郁
    • 学会等名
      第43回 日本神経科学会大会
    • 招待講演
  • [備考] 【研究内容や研究成果に関するWebページ】 国立遺伝学研究所 久保研究室 ホームページ

    • URL

      http://kubolab.jp/wp/

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公開日: 2022-04-15  

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