研究課題
本研究では,脳の情報処理過程における学習・記憶,超並列,自律分散といった様々な原理に基づく柔軟かつ複雑な処理をハードウェアアルゴリズムとして実装することにより,高次の処理を極めてコンパクトなシステム構成で実現することを目指す.特に本研究においては,脳の可塑性(環境適応性)と呼ばれる機能にヒントを得,従来の延長上にない知的環境適応型新概念LSI設計技術の確立を到達目標とする.本技術の実現においては,入力情報を適切に処理する計算アルゴリズムのみならず,本アルゴリズムを如何にしてコンパクトかつ低消費電力なハードウェアとして実装するかが重要な課題となる.そこで,主たる海外共同研究者として,集積回路設計技術ならびにパワーマネジメント技術の第一人者であるカナダ・トロント大学のWai Tung Ng 教授を受入先として選定し,昨年度末から本年度半ばにかけ,海外共同研究先であるトロント大にて6ヶ月間に渡る研究を行った.Wai-Tung Ng教授および講座の配属学生・研究生らとの議論を元に,本研究者がこれまで提案してきた高信頼LSI設計技術と,Ng教授が専門とするセンシング技術およびLSIモニタリング技術を融合することによる,センサからの時系列入力情報を内部に蓄積することで,動作環境に即した適切な処理へと機能を変化させる新概念VLSI設計技術の基盤構築に向けた研究を行った.
2: おおむね順調に進展している
主たる渡航先外国機関であるトロント大を訪れ,昨年度に構築した研究環境および長期滞在のための居住環境において,6ヶ月間に渡る共同研究活動を行うことができた.また,共同研究者との打合せを通し,研究内容を大きく前進できたとともに,渡航中に進めた研究成果は既に複数の国際学会および学術論文誌で発表済みである.以上のことから,本研究の進捗は概ね順調に進展していると判断できる.
海外共同研究によって得られた知見を元に,受入研究者とのWebミーティング等を通した情報交換も継続しつつ,その研究成果を取りまとめ,国際学会および学術論文への発表を継続する.
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 4件、 招待講演 2件)
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 58 ページ: SBBB01~SBBB01
https://doi.org/10.7567/1347-4065/aafb4d
Microelectronics Journal
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http://dx.doi.org/10.1016/j.mejo.2018.10.005