研究課題
本研究では,脳の情報処理過程における学習・記憶,超並列,自律分散といった様々な原理に基づく柔軟かつ複雑な処理をハードウェアアルゴリズムとして実装することにより,高次の処理を極めてコンパクトなシステム構成で実現することを目指す.特に本研究においては,脳の可塑性(環境適応性)と呼ばれる機能にヒントを得,従来の延長上にない知的環境適応型新概念LSI設計技術の確立を到達目標とする.本年度は,これまでの研究成果の取りまとめとして,既提案の各種回路技術を機能として盛り込んだIoT応用向け不揮発CPUの設計開発を推進した.本CPUは,Magnetic Tunnel Junction (MTJ) 素子と呼ばれる不揮発記憶デバイスを組み込むことによる不揮発記憶機能によって細粒度のパワーゲーティングを可能とするとともに,エッジデバイスにおいて想定される脳型計算処理を高効率に実行可能なアクセラレータを備えることで極めてエネルギー効率の高い演算処理が可能である.さらに,オープンソースの命令セットアーキテクチャであるRISC-Vをベースとした不揮発CPU向け命令セットを新たに定義することで,それらの円滑な制御を可能としている.実際に設計した本CPUの,実応用を念頭に置いたベンチマークにより,その有効性を実証した.また,当該CPUに組み込む不揮発レジスタについて,パワーゲーティング時における高信頼なデータ退避・復帰動作,および,その省エネルギー化を可能とする回路技術を新たに提案し,CPU実装時における有効性を検証した.
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件)
Memories - Materials, Devices, Circuits and Systems
巻: 4 ページ: 100035-1-9
10.1016/j.memori.2023.100035
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 61 ページ: SC1035-1-10
10.35848/1347-4065/ac461a