脳は感覚-運動課題の標的の事前分布を学習してベイズ推定を行い,課題精度を向上している.スポーツのような日常の課題では,複数の事前分布の学び分けが必要となる.本研究は,運動特異性(Roach et al. & Heron. 2017)に基づき,心理物理学的実験を行った.その主な成果として,運動効果器特異性を発見した.短時/長時(速球/遅球)の2つの事前分布に異なる運動効果器を割り当てると,それらの事前分布の学び分けが可能となった.さらに運動効果器間の解剖学的距離を大きくすると,より早く事前分布が学び分けられた.この心理物理学的発見は,事前分布の学び分けの神経基盤についても有力な仮説を提供した.
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