研究課題
本研究の目的は、自然光下において安定的にヒトの状態を反映する瞳孔成分抽出を行うことを目指す。この技術の実現のためには、視覚刺激の精度の高い物理パラメータのコントロールと、「明るさ」に対する瞳孔変化の高度な知見が必要となる。そのために、「明るさ、まぶしさ」に関する瞳孔研究に造詣の深い国際共同研究先とともにスピーディーに技術開発を進めていく。本研究項目では、輝度を変化させた環境下における瞳孔計測実験および瞳孔径変化のモデル化を行った。様々な色相のグレア錯視において、青色の錯視が最も明るく知覚され、さらに大きな瞳孔の縮小が知覚と関連して生じることを見出した。最も空に関連のある色は青で、太陽の光は輝度の勾配を持つように見えるので、青いグレア錯視は最も明るく知覚されるのではないかと考えた。つまり、視覚システムにおいて、生物学的な背景を持つ予測が入力を理解するために重要であると考えた。解析の結果、青いグレア錯視は他の色と比べて明るいと評価され、またその錯視を見ているときには大きな瞳孔縮小が見られた。これは錯視の効果を無くした視覚刺激に対しては観測されなかったので、グレア錯視に特異的な効果であると考えられる。さらに、帰国後の共同研究に向けた、VR環境における明るさ実験のセットアップを行った。これは本学にあるのと同じものをセットアップしたものであり、これにより、ほぼ同じ環境下で実験が可能となる。現在、予備実験開始に向けての準備段階である。
2: おおむね順調に進展している
オスロ大学における滞在を予定通り2019年3月末から開始し、共同研究を進めるとともに、帰国後の共同研究に向けた実験のセットアップを行うことができたため。
実験を再開できる段階で、ノルウェー・日本両国で、予備実験を行い、結果を照らし合わせながら、研究を進めていく方針である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 2件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 7件)
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