研究課題
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
ヒトが明るさの錯視(グレア錯視)を見ているときの瞳孔(眼球にある、いわゆる黒目と呼ばれる部分)の大きさを計測した。瞳孔は、暗い場所では散大し(散瞳)、明るい場所では縮小して(縮瞳)、目に入る光を調節する働きを持つ。一方で、ヒトが錯覚で明るく感じたときにも同様に縮瞳することが知られている。本研究は、様々な色相のグレア錯視において、青色の錯視が最も明るく知覚され、さらに大きな瞳孔の縮小が知覚と関連して生じることを見出した。
認知神経科学
これまで主観的な明るさ知覚は本人にしかわからず、一人称視点での知覚報告に頼るしかなかったが、本研究で、明るさ知覚と瞳孔縮小との相関が見られたことで、客観的な明るさ知覚を評価する指標としての新たな展開が期待できる。瞳孔反応は非接触計測によって心的状態を探るための有力な手がかりとして注目されており、ヒト同士のコミュニケーション、ヒトとロボットのコミュニケーションを飛躍的に発展させるイノベーティブな基盤技術として期待できる。