2020年度に引き続き、基課題「一細胞の複雑な形状に基づく器官・組織動力学モデルのシミュレーション研究」において進展させた方向性、すなわち、ハエ発生過程における細胞外シグナル伝達と生体組織の分化・成長メカニズムの解明を目指し、発展研究を行った。2021年度は新型コロナのため,渡航先での研究を当初計画通り進められない状況であったが、当該年度は渡航先で研究を進め、論文投稿および論文投稿準備を行った。具体的にはこれまで開発した定量化手法のブラッシュアップとともに時系列データへの適用を進め、昨年度の2倍の長さのデータに対して解析し、各種力学情報の推定を行い、有用な力学特徴量を得た。また、蛹期には2層あるハエ上皮組織層の各細胞に対し、複数の形態状態遷移過程として形態変化を定量化し、形態変化と2層の関係を明らかにし、シグナル伝達と形態形成の関連をより明確にする結果を得た。さらに、機械学習用のアノテーション付き追加学習データを作成し、時系列データ向け機械学習モデルを構築するなど4Dデータ解析システムの高精度化に向け研究を進めた。力学特徴量の推定法および機械学習援用定量化法に関し、共同研究者や協力研究者らと議論を進めた結果、それぞれ新規手法への発展に至ったため、基礎理論構築および新規手法による分析を進め、さらなる発展研究および投稿準備をすることとなった。 これらの成果に関して、海外学術雑誌に1編投稿し(審査中)、査読付き国際会議にて1件、国内会議にて3件、発表を行った。
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