現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はCOVID-19の影響により予定していた渡航は出来なかったが、ザンビア側カウンターパートと、4回のオンライン会議・Progress Reportミーティングを実施し、既に北海道大学に輸入済みの検体を用いた測定を行った。 鉛暴露にもっとも脆弱な子供を対象としたフォローアップ研究を実施し、神経・知的発達レベルやIQ値との関連を前向きコホート研究により解析し、鉛曝露が子供の知的発達に負の影響を及ぼす可能性を明らかにした。現在詳細な統計学的解析を追加で行い論文を作成中である。さらに、約1250名を対象に実施した血液鉛濃度の解析や、その標本母体から約500名をランダム抽出したSub-sampleを対象に実施した主成分分析や判別解析、重回帰分析などの多変量解析手法によるデータマイニングを行い、どの要因が複合的に影響を及ぼしているのか解明し、肝臓や腎臓などの臓器毒性パラメーターやゲノムメチル化との統計的に有意な負の影響を解明した(今年度だけでNakata et al., 2021, Yohannes et al., 2021など7報が受理された)。低濃度・中濃度・高濃度の鉛濃度が検出された子供を対象に、血中・尿中・糞便中の鉛濃度の推移および糞便を用いた腸内細菌叢解析を行い、鉛暴露が腸内細菌叢に及ぼす影響の解析を進めた。さらに、本年度は血中・尿中・糞便中の鉛濃度に加えて、マグネシウム、マンガン、鉄、カドミウム、ヒ素、銅、亜鉛などの他の金属濃度も分析し、鉛以外による腸内細菌叢への影響を統合的に解析することを試みている。これらの金属による複合影響については近年特に重要性が指摘されつつあり、本事業で所有するアフリカ地域の検体から初めて成果を明らかにすることが期待される。
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