研究課題
高濃度の鉛汚染が明らかになっているザンビア国・カブエ鉱床地域において、10歳未満の子供約600名、1歳未満の母子440組(880名)を対象に血液、尿、糞便を採取し、血液中鉛濃度の解析を実施した。母子の血液、母乳、乳幼児の糞便中の鉛濃度および同位体分析により、乳幼児における鉛暴露経路の評価を行ない、土壌や粉塵による寄与が大きいことを解明した。鉛暴露が腸内細菌叢に及ぼす影響の解析を進めた。さらに、血中・尿中・糞便中の鉛濃度に加えて、マグネシウム、マンガン、鉄、カドミウム、ヒ素、銅、亜鉛などの他の金属濃度も分析し、鉛以外による腸内細菌叢への影響を統合的に解析することを試みている。さらに、約1250名を対象に実施した血液鉛濃度の解析や、主成分分析や判別解析、重回帰分析などの多変量解析手法によるデータマイニングを行い、どの要因が複合的に影響を及ぼしているのか解明し、肝臓や腎臓などの臓器毒性パラメーターやゲノムメチル化との統計的に有意な負の影響を解明し、複数の学術論文に受理された。さらに、鉛暴露によるALADおよびp16遺伝子プロモーターにおけるDNAメチル化、ALADおよびビタミンD受容体関連遺伝子の遺伝子多型について解明した。鉛によるエピジェネティックな変化についての知見は限定的で、これらの成果は鉛毒性の発現機序の解明に貢献する。健康関連生活の質(Quality of Life: QOL)と血中鉛濃度の関連性についてもアフリカで初めて解析を行い、母親のQOLが子供の鉛暴露により影響を受けることを明らかにしたという点で、学術的に重要な知見となった。我々の成果は、World Bankなどの国際機関にもデータ提供を行っている。実際にWorld Bankが実施する同地域のプロジェクトにおいて、我々のデータをもとに住民に対する血中鉛濃度を低下させるキレート剤治療が行われた。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (18件) (うち国際共著 15件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 18件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 21件、 招待講演 2件) 備考 (1件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
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