研究課題/領域番号 |
17KK0010
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
新田見 匡 横浜国立大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20377089)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2023
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キーワード | 水質汚濁・土壌汚染防止・浄化 / バイオテクノロジー / 医療・福祉 / ウイルス / 細菌 |
研究実績の概要 |
本研究課題では活性汚泥中のコウレオスリックス属細菌を題材に、バクテリオファージ(以下ファージ)を用いた特定細菌の選択的制御方法の構築を目的としている。また同方法を医療分野において問題となる各種細菌の選択的制御に応用することも目的とする。 1)歯周病の原因となる細菌を宿主とする溶菌性のファージの探索と解析 下水汚泥処理施設より新たに採取した試料より4種類のファージ混合液を調整した。同ファージ混合液を口腔から分離培養された細菌(5株)に添加し、細菌とファージの共培養を行った。しかしいずれの混合液を用いた実験においても、ファージが細菌に感染して溶菌したことを示すプラークを確認することはできなかった。今後は歯周病原因細菌の対象を広げるとともに、引き続き新たな試料よりファージ混合液を調整する計画である。 2)大腸菌を宿主とする溶菌性のファージの探索と解析 都市下水処理施設より採取した試料より6種類のファージ混合液を調整した。同ファージ混合液を糞便より分離培養された大腸菌株に添加し、細菌とファージの共培養を行った。その結果ファージYF01を分離した。このYF01はデータベース上の35種類のEscherichiaファージおよびShigellaファージと高い類似性を有していた。同35種類のうち6種類は国際ウイルス分類委員会(ICTV)によってKuravirus属に分類されているものであった。Kuravirus属の複数のファージは病原性大腸菌に対する細菌分解活性を有することが報告されているため、今回分離したファージYF01についても、病原性大腸菌への活性を今後確認する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は歯周病の原因となる細菌を宿主とする溶菌性のファージの探索と解析を計画していた。しかし歯周病の細菌について、目的のファージを分離するには至らなかった。一方、大腸菌を宿主とする溶菌性ファージを分離し、その解析結果について学術雑誌に公表することができた。本年度も実験試料の採取や海外共同研究者との研究実施に困難があった。
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今後の研究の推進方策 |
下水処理施設の活性汚泥より分離培養された糸状性細菌を宿主とする溶菌性のファージの探索と解析を実施する。また歯周病の原因となる細菌を宿主とするファージの探索と解析も継続する計画である。海外共同研究者との共同研究も実施する。
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