研究課題/領域番号 |
17KK0011
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
竹内 政樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 准教授 (10457319)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | 環境分析 / 越境大気汚染 / PM2.5 / 富士山 |
研究実績の概要 |
本年度は、大気粒子状物質の連続観測を可能にする粒子状物質捕集器の設計・製作を行った。本捕集器は主に、アクリル製の円筒形のチャンバー、アクリル製エアノズル、2枚の親水性フィルター及びアクリル製の気液分離部から構成される。大気サンプルは捕集器の上方より吸引され、エアノズルを通過してチャンバー内に運ばれる。一方、捕集液(純水)はエアノズルの真下に送液され、大気と衝突することによりチャンバー内でミストが生成される。チャンバー内の粒子状物質は2枚の親水性フィルターで捕集・溶解抽出される。その後、粒子状物質はミストにより直ちに溶解抽出され、溶存成分は気液分離後、分析装置に送られてオンライン測定される仕組みとなっている。本捕集器の寸法などは、大気サンプルの吸引流量と捕集液の送液流量を変化させながら最適化を行った。続いて、地表面(徳島市)の大気粒子状物質を用いて本捕集器の捕集効率を測定したところ、粒子状塩化物イオン: 99.2±3.0%、硝酸イオン: 99.5±1.7%、硫酸イオン: 98.8±3.4%(いずれの成分においてもn = 16)となり、いずれの成分においても良好な結果が得られた。さらに、地表面では1ヶ月以上、富士山頂においては少なくとも10日間は捕集フィルター等の破損なく連続使用が可能であり、捕集器の耐久性についても良好な結果が示された。 また、日本分析化学会第68年会に参加し、これまでに得られた研究成果のポスター発表ならびに今後の研究を進めるうえでの情報収集を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、大気粒子状物質の連続観測を可能にする粒子状物質捕集器の設計・製作を行った。本粒子状物質捕集器を地表面の徳島市と自由対流圏高度に位置する富士山頂で稼働させたところ、いずれの地点においても長期間使用可能であることが明らかとなったため、本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、本年度に製作した大気粒子状物質捕集器で捕集した成分のオンライン濃縮法について検討する。溶媒透過性チューブの形状、試料溶液及び溶媒除去ガスの流量、濃縮温度などを最適化して検出感度の向上を図る。また、これまでに得られた研究成果を日本分析化学会第69年会あるいは第57回フローインジェクション分析講演会で発表する。
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