研究課題
2018年8月末より訪問し、日本から持ち込んだ3インチ-3インチNaIスペクトルサーベイメーターを用いて、調査地点候補である大学を中心としたヴェスプレーム市街地の空間ガンマ線線量率分布の測定を行った。調査は歩行サーベイとして実施した。その結果、調査地点候補東部にある旧市街地は比較的高い分布を示すことが明らかとなった。また、空間線量に影響を及ぼす可能性のある裸地は比較的低く、観測候補地点は妥当であることが明らかとなった。同時にフィルター上に捕集したエアロゾル粒子の210Poを分析するためのスキームについて検討を行った。その結果、超音波抽出、全量回収したのち、ISOに準拠した手法によりプレートに沈着させることで、十分測定が可能であることが分かった。2019年2月からの訪問で、日本から持ち込んだHVエアサンプラーの据え付けと試運転を実施した。2018年8月に現地で購入したボックスを加工するとともに3Dプリンターを利用して作成した接続部を取り付け、サンプラー設置のボックスを設置した。1-3日間隔で500L/minの吸引流量で試運転した結果、十分なエアロゾルを捕捉することができた。次に7Be測定のための装置校正を行った。既知濃度のガンマ線放出放射性核種溶液を、本調査で使用するフィルターと同じものに添着させ、Ge半導体検出器の効率校正を実施した。その結果、1日サンプリングの試料についても80,000秒で十分検出できることが確認できた。さらに、大気水蒸気を捕集するため、物理吸着させるための吸湿材を詰めたガラスカラムと関さん流量を記憶できるミニポンプを準備して試運転を行い、低湿度のハンガリーでもトリチウム測定に十分な水試料が確保できることを確かめた。
3: やや遅れている
調査地点周辺の放射線状況を把握するとともに、現地での気象データ取得、サンプラーの設置、210Poおよび7Be測定の準備が整った。しかし、研究代表者が2019年4月より所属機関が変更になることが決まり、2019年2月の滞在が短くなり、35S分析の基本条件の確認ができなくなった。ただし、この実験は2019年の計画に入れ込むことが可能であるため、問題ない。
研究代表者は2019年4月より所属機関が変わり、研究環境が変わる。ただし、移動先である弘前大学被ばく医療総合研究所はパンノニア大学放射化学・放射生態学研究所とMOUを結んでおり、これまで以上に協力しながら研究を進めることができる。また、2018年9月より共同研究者所属機関の客員教授を拝命したこともあり、極めて良好な関係で計画を進めていく予定である。ただし、異動して1年目ということもあり、新所属機関の関係者と十分な議論をしたうえで、渡航時期を調整する予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry
巻: 319 ページ: 1359~1363
10.1007/s10967-018-6397-9