研究課題
本研究では、成層圏-対流圏の気体交換が活発であり、かつトリチウム濃度が極めて低い海水起源水蒸気の影響を受けにくい中緯度ヨーロッパ内陸地域において物理形態に分け大気観測を行い、トリチウム以外の宇宙線生成核種や210Pb、210Po、222Rn 等の天然放射性核種の測定を行う。半減期や滞留時間の異なる放射性核種の存在比を組み合わせることで「天然起源トリチウムを追跡するためのマルチアイソトープ手法の確立」を目指すことを目的としている。これまでコロナウイルスのパンデミックの影響により渡航できなかったが、2022年度はパンノニア大学を訪れることができた。2018年から開始した観測データについては、大気エアロゾル捕集フィルターに合わせて製作した7Be校正用標準線源を用いて再解析を行った。大気水蒸気捕集とトリチウム計測は、パンデミックの影響により十分なものとは言えないものの、必要最低限の比較データをそろえることができた。現地での大気および降水中トリチウム濃度の実測データは限られているものの、関連研究機関等において取得されていた測定データをダウンロードすることができた。一方、共同研究者でありパンノニア大学のTibor Kovacs先生に来日していただき、Pannonia大学の研究室で使用されているatmospheric dispersion modelのレクチャーを受けた。また、そろえたデータセットを用いて降水中トリチウム濃度レベルとその変動傾向について、その詳細を明らかにした。
すべて 2023 2022 2018
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Atmosphere
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