研究課題
グリーンランド氷床(Greenland Ice Sheet; GrIS)における近年の急激な雪氷質量損失のメカニズムを解明するために、研究代表者は、基課題「次世代極域気候モデル開発と広域観測によるグリーンランド氷床質量損失メカニズム解明 (若手B; 17K12817)」において、世界最先端のスペックを有する極域気候モデルNHM-SMAPを開発した。本国際共同研究課題では、GrIS雪氷表面質量収支(Surface Mass Balance; SMB)研究の世界的権威であるデンマーク・グリーンランド地質調査所(GEUS)のJason E. Box教授の元に滞在して、NHM-SMAPが高い国際的認知度と信頼性を獲得するべく、各種研究活動に取り組む。本年度は、まず、Box教授の紹介もあって参画した、GrIS表面質量収支計算モデル国際相互比較プロジェクトGrSMBMIP(Fettweis et al., in review)にモデルシミュレーション結果を提出して貢献することが出来た。2019年の春と夏には、GEUSと共同で、モデル検証データ取得のための雪氷物理現地観測をグリーンランド氷床最南部においてクロスカントリースキーで移動しながら実施した。その様子がAir Greenland機内誌2020年第1号にて紹介されることが決定した。これらの観測を通して、最南部における降雪・降水形態について興味深い特徴が見いだされた(現在、論文執筆中)ため、このエリアを対象とする観測的研究とモデル研究を共同で一層拡充させることを決定した。更に、Box教授が開発しているGrIS雪氷アルベドプロダクトを用いてNHM-SMAPを制約するモデル実験も順調に進行している。コペンハーゲン滞在中には、GEUS、デンマーク気象研究所、オーフス大学、及びヨーロッパ宇宙機関の研究者らと密接な情報交換・議論を行った。
2: おおむね順調に進展している
グリーンランド氷床における国際共同現地観測を成功させることが出来た。また、モデル研究についても、GrSMBMIPへの貢献を始めとして、重要な成果が出始めている。
2020年度も、2019年度と同様に、GEUSでの研究滞在を行うとともに、グリーンランド氷床におけるGEUSとの国際共同観測を実施する予定であるが、COVID-19の影響で状況は不透明である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
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