研究実績の概要 |
2年目にあたる2019年度は、ベルリンにあるマックス・プランク人間発達研究所感情史研究センターにおいて、本研究の方法論である感情史の研究成果を摂取する一方、ロンドン自然史博物館において新史料開拓を行った。前者の成果は、『エモーション・スタディーズ』掲載の論文にまとめられたほか、派生的な成果として感情史の代表的な入門書、B. H. Rosenwien and Riccardo Cristiani, What is the history of emotions (polity, 2018)の共訳企画を進めることができた(2020年度中に刊行予定)。後者の成果は『専修大学人文科学研究所月報』掲載の論文や、フンボルト博物館開催ワークショップでの研究報告へとまとめられた。また、両者に関わる成果としては、客員として滞在した感情史研究センター主催のコロキアムでの研究報告にまとめられた。また、昨年度中に研究発表に応募し採択された国際学会(International Society for the History, Philosophy and Social Studies of BiologyとInternational Society for Eighteenth-Century Studies)において、無事、報告を終えた。さらにこれらを契機のひとつとして、新たにマックス・プランク科学史研究所(ベルリン)や、フンボルト博物館の研究者との交流関係を構築することができ、それにより、フンボルト博物館においても新史料を発見することができた。その結果、19~20世紀転換期における、欧米諸国によるアジアでの動物資源の開拓と収集から野生動物保護への変容を、政策立案者の視点からだけでなく、動物収集や取引に従事していた人々の視点から明らかにする糸口が得られた。
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