研究課題/領域番号 |
17KK0023
|
研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鈴木 真太郎 岡山大学, 社会文化科学研究科, 講師 (80767757)
|
研究期間 (年度) |
2018 – 2019
|
キーワード | 自然人類学 / 考古人骨研究 / 古代マヤ / 古代メソアメリカ / 古代アメリカ / 文明周縁地 / 移民動態 |
研究実績の概要 |
平成30年度は先行する「古代マヤ文明南西周縁域の広域考古人骨研究 (若手研究B)」を継続・発展させる形で、パレンケ遺跡(メキシコ)とコパン遺跡(ホンジュラス)出土の考古人骨群を対象に、さらに長期に亘る現地調査を行なった。2018年夏(パレンケ遺跡分の約30個体)と2018年冬-2019年年頭(コパン遺跡分の約30個体)に、それぞれ当該国で巨視骨学鑑定、安定同位体等特殊分析のための試料採取、レプリカ作成や写真撮影等の詳細な記録を行い、現地政府機関と交渉しながら輸出許可を取得した後は、採取試料を国内外の専門分析機関へと発送した。 10月後半から11月前半にはメキシコのユカタン州メリダ市のユカタン自治大学において国際シンポジウムを開催した。仏、米、英、墨の4カ国10以上の研究機関から20人余りの専門家を招き、6つの分科会、19本の研究発表と12本のポスター発表を行い、盛んな意見交換を行うことができた。本研究の途中経過も世界各地の専門家と共有し、先行研究から続く連続的な研究として、その方向性に国際的な評価を受けることができた。なお同シンポジウムでは正式開催前の3日間に合計30時間にも及ぶアーキオタナトロジーのワークショップを開催しており、「発掘現場から始める考古人骨研究」という新たな視点で本研究に関する議論を行った。 またメリダ市では同時にユカタン自治大学の研究協力者とデータベースの共有を行なった。数千体にも及ぶ考古人骨の情報が、数万件という変数とともに記録、整理された巨大データベースの概要が整いつつあるのは、本研究の中でも特筆すべき点である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成31年3月末現在、予定されていた全考古人骨群の巨視骨学鑑定、安定同位体等の特殊分析試料採取、分析機関への輸送を完了している。国内外の様々な機関で分析を行っているため、全ての結果が整うまでまだ数ヶ月以上の時間が必要となる見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
日本国外で行われている分析に関しては分析の終了を待つ。一方、国内での分析に関しては、自らで分析を進められる部分(炭素窒素の安定同位体分析)は、適宜これを進めていく。若干の遅れは常に考慮されるべきではあるが、概ね本年度中には全ての分析結果が出揃うはずである。先行研究の成果も取り込んだ上で専用データベースを用いて多角的な分析を行い、海外共同研究者と共に議論を進めていく予定である。
|