研究課題/領域番号 |
17KK0024
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
谷川 竜一 金沢大学, 新学術創成研究機構, 助教 (10396913)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2021
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キーワード | 冷戦 / 植民地 / 社会主義建築 / ポストコロニアル |
研究実績の概要 |
本国際共同研究では、冷戦下の平壌とソウルが対立を前提とする依存関係のもとで都市空間を変容させてきたと捉え、その相関メカニズムを建築・都市史研究として解析している。 研究手法としては、2018年度後半から引き続き2019年9月末まで漢陽大学で滞在を行い、同大学建築学部の韓東洙教授らとともに共同研究体制を敷き、研究の打ち合わせ、共同踏査、資料の共有などを頻繁に行いながら進めることができた。研究の観点として、平壌・ソウル両都市の都市空間構造、国際政治・経済的背景の差異、両都市の歴史的な空間形成に対する日本の関与、独立後の象徴的建造物の建設技法などに注目しており、本研究前半期においては以下のような研究活動を行った。 平壌に関しては、都市復興を担った建築家らの情報を多く手に入れることができた。ソウルに関しては、韓国の重要建築家であるキムスグンらが関わった都市計画資料を収集することができた。 また、韓東洙教授と徐東千副教授らと議論を重ねて情報共有を行ってきたその共同研究の成果として、日本建築学会の査読論文集に論文を徐東千副教授と連名で投稿することができた。掲載は2019年12月に決定しており、次年度の成果となることが確実である。また、滞在期間中に漢陽大や高麗大で国際共同研究セミナーを合計3回開催し、研究発表を行った。こうした点でも大変実りある共同研究を進めることができた。帰国後は、滞在中に集めた資料の分析などを行うとともに、ひきつづき韓東洙・徐東千両氏と緊密に連携を取り合ってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年10月半ばより漢陽大学に滞在し、2019年9月末まで、順調に共同研究をすすめることができた。また、共同研究者の一人も無事就職でき、2019年度10月以降は代表者が日本に帰国したが共同研究体制を揺るがすことなく研究を推進することができた。
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今後の研究の推進方策 |
国際共同研究体制での研究の充実と拡大を行うために、本年度は共同調査や共同のワークショップなどを予定していたが、国際的に社会が混乱しているために、それらは難しくなるのではないかと予測している。そのため、昨年度収集した研究素材をすでに二つに分け、共同で分析する体制を整えているので、その考察を行いつつ、臨機応変に状況に対応していきたいと考えている。また、特に北朝鮮の平壌建設に関与した建築家らの情報を多く収集することができたが、それらの分析を通じてより大きな成果につなげることができると考えている。こうした分析を進めたい。
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