この共同研究は、現代アフリカにおいて生業活動に見出される社会的な性差を基盤にした知識や技術の差異に留意しながら、急速な市場経済化や観光開発に晒されているエチオピア西南部で多層的な社会状況を生きる人びとが「もの」を創りだす実践を扱う。最終年度(2019年度)は、学術交流と成果発信の2点を中心に研究活動に取り組んだ。 1. 学術交流:まず本共同研究の課題について、京都人類学研究会(関西圏の大学に在籍する研究者・院生が組織)と共催して2019年5月17日に研究会を実施し、東南アジアとアフリカの事例を踏まえながら本テーマの重要性について参加者と共有した。2019年7月18日にはアフリカ地域研究資料センターと共催して第244回アフリカ地域研究会を実施し、社会的性差を基盤にした知識と生業活動において発揮される創造性について議論した。次に、エチオピアにおいて2つの研究集会を主催した。一つはアジスアベバ大学にて、2019年11月15日に実施した。アジス大院生の発表を中心に、ジェンダーを基盤にした知識の差異とそれにより生じる社会・政治的な状況について議論した。代表者が所属する京都大学の院生も参加した。2つ目の集会は、エチオピア国内の地方都市に新設されたジンカ大学において2019年11月9日に実施した。ジンカ大学は、本共同研究において主な対象とした地域内に位置する。集会では、本共同研究の成果を発表するとともに、ジンカ大学の学長の協力のもと、ジンカ大学や周辺の大学からも発表者を募ることができ、エチオピアにおいてジェンダーを基盤にした技術をもとに新たな生業活動が生成される過程について議論した。 2.成果発信:本共同研究のカウンターパート研究者および本研究課題に関する若手研究者の論文を編集して、英文による成果集を発行した。本論集では、これまでの研究成果を共著論文として含めて発表した。
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