研究課題/領域番号 |
17KK0026
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
村井 恭子 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (50569291)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2022
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キーワード | オルドス / 石刻史料 / 唐宋時代 / 遊牧民 / 東洋史 |
研究実績の概要 |
本研究は主に西安・北京を拠点として、とくに近年新たに発見された唐~宋代のオルドスに居住した遊牧民(吐谷渾・タングートなど)の活動に関する石刻など漢語史料の現地調査・整理・解読を基礎的作業とするものである。 2020年3月の渡航を断念した後も新型コロナウイルスの流行が収束せず、受け入れ機関である北京大学は今年度も外国人研究者の受け入れを停止したままで渡航はかなわなかった。共同研究者の一人である市来氏も依然として中国に戻れない状況である。このため、メールなどの連絡手段を通じ、もう一人の共同研究者である栄新江氏や、市来氏と親交のある中国人研究者などから本研究に関連する最新情報を収集することに努めた。中国ではとくに吐谷渾に関して青海省都蘭熱水墓群・伏俟城遺跡・甘粛省武威吐谷渾王陵墓群のにおいて、新出墓誌を含む新たな発見や遺跡・考古遺物の調査結果の公表が相次ぎ、関連学会では大きな盛り上がりを見せた。中国に渡航できなかったことが非常に悔やまれるところであるが、この状況について上記中国側の助力のもと最新情報を収集・整理して日本アルタイ学会主催の学会において報告・紹介した。国際学術交流の方面では、中国側から2015年既発表のタングートに関する論文について中国で公表したいという要請があり、陝西省博物院の研究員王路氏の協力のもと中国語版を作成し著名学術誌に寄稿中である。 新たな状況としては、今年度末になって北京大学から外国人研究者の受け入れを再開した旨の連絡を受け、その手続きを行っているところである。北京大学内部の許可はすでに得ているのだが、現在は北京市長の許可も必要となっているために時間を要している。新型コロナウイルスの感染状況が悪化しなければ2022年8月より渡航可能となるはずである。現在、共同研究者の栄新江氏・市来氏とそれぞれ連絡を取り、関連の情報を継続調査しつつ渡航に向けて準備している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は中国国内でも新型コロナウイルスの流行が拡大し、西安市がロックダウンするほどとなった。このため陝西省考古研究院や寧夏大学などの研究機関に対してはすでに研究協力を取り付けていたのだが、状況の激変によってほぼ無効となってしまい、渡航が確実となった後で再度要請をせねばならなくなった。研究協力者の市来氏もいまだに中国に戻れていない状況である。最近ようやく北京大学の受け入れが再開されたので、各機関・研究者へ連絡を取り交渉を行っていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年8月以降に渡航が可能となった場合、中国国内における新型コロナウイルスの流行状況に注意しつつ、陝西・寧夏・青海へも調査に行けるように準備を行う。渡航ができない場合、あるいは渡航できても北京から出られない場合も想定して可能な限り研究情報の収集・整理および公表に努める。
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