香港のカトリック教会堂は、19世紀から1980年代前半まではイギリス植民地政府との強い政教相互依存関係に基づいて建設・運営されてきた。1984年の香港返還決定を境に教会は政教相互依存関係からの脱却を目指した。香港の教会堂形態を規定してきた主要な要因はこのような政教関係であった。具体的には、政教関係に基づき、教会堂に複合させる用途(学校、福祉施設、商業施設)、建物所有者(教会組織、政府、民間)、教会堂の性質(臨時、過渡、恒久)が選択され、教会堂の建築形態を決定してきた。香港のカトリック教会は変化し続ける政治情勢に適応・融合することで礼拝空間を確保し続けてきた。
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