本研究では科研費(基盤C)の南九州の旧石器から縄文草創期・早期移行期における人類の技術と行動の復元について、米国の三つの大学の専門家と国際共同研究を通じ、より精度を高め、土器の計量考古学的諸分析を行った。土器薄片の鉱物分析および放射化分析を組み合わせ、土器の産地同定を行なった。また、成形方法と技術の分析から、製作者の技術選択の理由を推測した。結果、南九州の縄文時代草創期の土器は主に遺跡近くで製作され、全体に定住度が高かったものの、種子島の遺跡ではより定住度が高く、その一方で遠距離交換された土器も認められた。成形方法は主に、平たい粘土塊を重ねて作られ、作りやすさに重きが置かれたことが推測された。
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