研究課題/領域番号 |
17KK0029
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
前田 弘毅 首都大学東京, 人文科学研究科, 教授 (90374701)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2020
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キーワード | ユーラシア / ジョージア(グルジア) / コーカサス / マイノリティ・エリート / サファヴィー帝国 / 通訳 / 奴隷軍人 / ミドルマン |
研究実績の概要 |
2019年度前期は主にジョージア国イリア国立大学東洋学研究所に客員研究として滞在し、史資料収集及び研究者との研究交流に努めた。また、国立写本センターにおける史料の閲覧などを行った。17世紀の政治家・歴史家パルサダン・ゴルギジャニゼや、19世紀の政治家・歴史家アレクサンドレ・オルベリアニ執筆史料について研究を進めた。このほか、ペルシア語史料との照合等の作業も行った。若い世代の歴史研究者との交流も積極的に行った。 2019年度後期は主にアメリカ合衆国プリンストン大学近東学部に客員研究員として滞在し、史資料収集及び研究者との交流に努めた。近東学部主催のセミナーでは、古代近東から現代に至るまで、主に若手中心の研究発表を聞き、新しい研究動向の把握に努めた。さらに、歴史学部やヘレニズム学部、考古学部、高等研究所などが主催するセミナーやシンポジウムに参加することで、世界各地の歴史研究と地域研究の潮流を理解することが出来た。 さらにコーカサス現地やアメリカにおける中東史およびコーカサス史研究者との研究交流に努めた。おしもアメリカとイランに関する様々な国際問題が起こっており、さらにイラン・イスラーム革命40周年にもあたったために、プリンストン大学イラン・湾岸研究センター主催の研究交流の場等にたびたび出席し、貴重な学術交流の機会を得ることが出来た。同センターに所属する若手研究者から研究の新たな動向なども学ぶことが出来た。論文執筆の機会も得たため、成果は近日中に公刊される見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り、ジョージア国イリア国立大学東洋学研究所およびアメリカ合衆国プリンストン大学近東学部に長期滞在し、コーカサス出身マイノリティ・エリートの多彩な歴史的活動を帝国史や地域史など様々な観点から捉え直す契機を得ることができた。特にプリンストン大学においてギリシアやエチオピアといったヨーロッパ周縁部、中東周縁部の最新の歴史研究の成果を知ることで、研究視野の拡大に大きな手掛かりを得た。研究者ネットワークについても、コーカサス現地とアメリカにおける滞在により、当初の目的で意図したとおりに形成が進んでいる。このように、研究は順調に進んでいた。しかし、米国滞在中に新型コロナウイルス蔓延による社会情勢の急変があり、資料収集や研究者との面談の機会が著しく制限される事態となり、最終的にはやや遅れた状態となっている。
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今後の研究の推進方策 |
研究実施期間における海外における研究滞在および研究者ネットワークの拡大について、これまで通り進めていく。ジョージア国とその周辺地域や、プリンストン大学との関係をより強固なものとする一方、ヨーロッパや国内の研究者との意見交換にも努めていきたい。また、この間、外国語による論文執筆の機会も増えており、積極的な海外での研究成果発表と論文投稿を進めていく。ただし、新型コロナウイルス蔓延により、海外との協力体制については短期的には様々な困難も予想される。史資料の整理や様々なチャンネルを通じての交流の維持に努める必要がある。また、研究の都合上、海外滞在は必須であり、引き続き状況を見極める必要がある。
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