研究課題/領域番号 |
17KK0029
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
前田 弘毅 東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (90374701)
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研究期間 (年度) |
2018 – 2022
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キーワード | ユーラシア / ジョージア(グルジア) / コーカサス / マイノリティ・エリート / サファヴィー帝国 / 環黒海地域 / 境域 |
研究実績の概要 |
2021年度は、前年度に引き続き、新型コロナウイルスの蔓延により、コーカサス現地および欧米の研究機関を訪問することはできなかった。しかしながら、700頁をこえる大著であるThe Safavid World (Routledge Worlds)(Matthee, Rudi ed.) に論文Against All Odds: The Safavids And The Georgiansを寄稿した。この中で2世紀以上にわたるサファヴィー帝国とジョージア/グルジア人政治勢力の関係についてまとめた。特に現地の政治情勢とサファヴィー帝国の政策との関連についても注目した。コーカサス出身者の周辺帝国における活動を総合的に俯瞰しようとする本科研の主たる成果である。また、ジョージア国トビリシのイリア国立大学東洋学研究所で開催された国際ウェビナーにおいて、イラン・フーゼスターン地方に定着したジョージア/グルジア出身有力ゴラーム家系について報告を行った。直系子孫も参加し、イランとジョージア、日本を結ぶユニークな機会となった。これもイラン現地訪問から派生した本科研の成果の一つといえる。さらに、国内に向けてはサファヴィー帝国第5代シャー・アッバース一世に関する評伝『アッバース一世』(山川出版社)を上梓し、その「改革」と時代性について全体像を提示した。この中ではジョージア/グルジア人だけではなく、アルメニア人商人の取り込みについても触れた。また、ソ連崩壊のコーカサス現地の政治変化について、報告も行った。加えて、市民向け講座でジョージア/グルジアの歴史について解説するなど、成果の社会還元にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2021年度は、前年度に引き続き、新型コロナウイルスの蔓延により、ジョージア/グルジアや欧米の研究期間を訪れる機会をもつことが出来なかった。しかしながら、ウェビナーなどの活用により、世界的な研究交流とネットワーク形成の強化を部分的に進めることが出来た。英文論文の執筆と公刊もまた、本研究の国際化につながると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度積極的に購入した他分野横断型の諸史資料について、読解を進めることで研究の幅を広げることが必要と考える。また、新たな英文論文の執筆を進めており、公刊により研究成果を問うとともに、海外の研究者とのネットワークにも益することになる。現地や欧米の研究期間とのネットワーク強化については現地訪問の機会を探りながら、ウェビナーでの参加も検討していく。
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